【F1】マクラーレン・ホンダは「周回遅れ」ではなく「2週遅れ」!? (3ページ目)
「ハードウェアもソフトウェアも問題ないです。しかし、それらをコントロールするデータ設定が問題なんです。気温に対するタフネス(耐久性)が低いものを持ってきてしまっていて、そのまま走るとメカニカルな問題につながるおそれがあった。年間4基という規制がある以上、1戦目で壊すわけにはいかないし、新たに組み直すにしても、確認の取れていないデータをぶっつけ本番で使うわけにもいかなかったんです」
ホンダはその問題のあるパワーユニットを使うために、冒頭で述べた応急処置をマシンに施したわけだが、この誤算の背景には、テスト終了から開幕までの10日間で完璧な準備ができなかったという事情があった。
「テストで出た課題を片付けるのに精一杯で、確認できていない項目がたくさんありました。正直に言えば、まだマチュレーション(熟成)というレベルにはいっていないんです」
新井は、苦しい状況をそう説明した。
結局、マクラーレン・ホンダは夜間作業禁止規定(※1)を破り、深夜までマシン整備作業を強いられた。パワーユニットの冷却を促しエンジン本体とMGU-K(※2)にかかる負荷を少しでも下げる努力を続けたのだ。
※1 夜間作業は午前4時から翌朝11時まで原則禁止。ただし年間2回まではOK。3回目以降はピットスタートのペナルティを受ける
※2 MGU-K=Motor Generetor Unit - Kinetic/運動エネルギー回生装置
迎えた土曜の予選、マクラーレン・ホンダはトップから3秒落ちのタイムで、出走18台中17位と18位。前日にクラッシュし、スペアのない最新型フロントウイングを壊したマグヌッセンは、バトンに0.6秒の後れをとった。
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