【F1】 「シート獲得の可能性はまだある」。未来の「夢」につなげる可夢偉の決断

  • 米家峰起●取材・文 text by Yoneya Mineoki
  • 桜井淳雄●撮影 photo by Sakurai Atsuo(BOOZY.CO)

ザウバー残留は消滅したが、他チームへの移籍の可能性を模索する可夢偉ザウバー残留は消滅したが、他チームへの移籍の可能性を模索する可夢偉
 11月23日、ザウバーF1チームが来季のドライバーラインナップを発表。そこに小林可夢偉の名はなかった。

 日本のファンが大いに落胆したことは確かだろう。可能性が乏しくなりつつあることが連日報じられていたとは言え、希望のひとつが消えたことは事実なのだ。

 しかし、当の可夢偉は気にする様子はなかった。

「僕にとってはそんな大きなことじゃないんです。1カ月くらい前からわかってた結果やし、僕らとしては最初から見切ってたようなもんやったから。(チーム代表の)モニシャ(・カルテンボーン)から水曜(21日)にホテルで伝えられましたけど、(チームのために)『ああ、良かったね』って言ったくらいですから」

 モニシャから来季のシートを用意できなかったことを聞かされた翌日、可夢偉はそのことを明かさないままひとつの行動に出た。

「F1に乗ります。F1に残るために決断しました」

 11月22日、可夢偉はそう言って、『KAMUI SUPPORT』というプログラムを発表した。一般のファンから資金援助を募り、それを来季のシート獲得資金に充てるというものだ。1カ月近く前から準備を進め、ようやくその受け容れ準備が整った。

 周知の通り、現在のF1ではシート獲得にスポンサーの持ち込みが必須という状況だ。可夢偉はF1にやってきて以来、「そこまでして乗るつもりはない」と、スポンサー持ち込みではなく自身の実力のみでシートを獲得したいという信念を曲げずにやってきた。

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