【F1】小林可夢偉が振り返る序盤戦。「速いのにポイントが獲れていない」

  • 米家峰起●取材・文 text by Yoneya Mineoki
  • 桜井淳雄●撮影 photo by Sakurai Atsuo(BOOZY.CO)

4戦を終えて、着実にポイントを重ね、さらに上位を目指す小林可夢偉4戦を終えて、着実にポイントを重ね、さらに上位を目指す小林可夢偉
 入賞2回、リタイア1回。9ポイント獲得でランキング12位。

 2012年シーズン開幕から4戦のこの成績に、小林可夢偉は満足していない。

 これまでのザウバーというチームのポジションを考えれば、十分に健闘と呼べるリザルトだろう。しかし今季は違う。マシンの出来が良く、3強チーム(マクラーレン、レッドブル、メルセデスAMG)のすぐ後ろで争うだけの力を持っている。時には3強の数台を食うことも不可能ではない。開幕前のテストの時点からそれを感じ取っていたからこそ、可夢偉はこの成績に満足できていないのだ。

 バーレーンGPの開催が情勢不安により直前までクリアにならなかった時、可夢偉は「バーレーンに行きたい」と本心で語っていた。

「休みを取るかレースを取るかっていわれたら、今の成績ではレースを取った方がいいから、あってよかったかなって(笑)。開幕から3戦が絶好調で、もう十分っていう感じなら休みでもよかったけど、実際は速いけどポイント獲れてません状態やから(笑)。バーレーンに行きたいって言ってたのは本当に本心ですよ。速いのに獲れてないんですもん、ポイントが」

 開幕戦ではリアウイングを壊されマシンの不安定さに苦しみながらも6位フィニッシュ。第2戦マレーシアGPではチームメイトが表彰台に上がる活躍を見せた裏側で、予選・決勝ともにトラブルに悩まされ続けて不本意な走りのままリタイア。第3戦中国GPでは予選4位に入り3番グリッドからスタートしながらも、スタートで失敗し、渋滞の中で本来のペースを発揮できずに10位フィニッシュ。

 つまり、可夢偉はまだトラブルなしでマシンの力を100%引き出したレースが一度もないのだ。それさえできれば上位入賞も十分に可能なマシンだと、可夢偉は明確な手応えを掴んでいたのだ。

 そんな中で迎えた第4戦バーレーンGPでは、金曜のフリー走行から7番手タイムを記録するなど、相変わらずの速さを見せた。

 だが、ザウバーはその裏で苦しんでいた。予選を想定した1発アタックでは好タイムが出るが、レースでそれを長く維持できない。タイヤに優しいザウバーにしては珍しく、タイヤのケアに苦しんでいたのだ。

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