名牝ジェンティルドンナの子、エヴァンジェリーナがまもなくデビュー「母に似ている部分も見える」

  • 河合力●文 text by Kawai Chikara

厳選!2歳馬情報局(2023年版)
第21回:エヴァンジェリーナ

 2歳戦線では今年も名牝の子が次々にデビューを飾っているが、これからデビューを迎える名牝の子もいる。

 栗東トレセンの斉藤崇史厩舎に所属するエヴァンジェリーナ(牝2歳/父モーリス)もその1頭だ。

ジェンティルドンナの子、エヴァンジェリーナジェンティルドンナの子、エヴァンジェリーナこの記事に関連する写真を見る 同馬の母は、国内外のGI7勝という輝かしい成績を残しているジェンティルドンナ。3歳時に史上4頭目の牝馬三冠を成し遂げると、その直後にGIジャパンC(東京・芝2400m)にも出走。前年の牡馬三冠馬であり、当時GI5勝を挙げていた1歳上の"怪物"オルフェーヴルとマッチレースを演じ、3歳牝馬の身でありながら見事に大一番を制した。

 古馬になってからは、牡馬一線級相手のGIでなかなか勝つまでには至らなかったが、4歳秋にジャパンCで連覇を達成。5歳春には、海外GIのドバイシーマクラシック(UAE・芝2410m)で戴冠を果たし、海外での勲章も手に入れた。

 さらに、引退レースとなった同年12月のGⅠ有馬記念(中山・芝2500m)も快勝。道中3番手から鮮やかに抜け出して、有終の美を飾った。

 同馬は、繁殖牝馬になってからも活躍。エヴァンジェリーナの全姉、2018年生まれのジェラルディーナ(牝5歳/父モーリス)は、2022年に牡馬相手のGIIオールカマー(中山・芝2200m)を完勝すると、GIエリザベス女王杯(阪神・芝2200m)も勝ってGI馬となった。

 こうした血統背景から、大いに注目されているエヴァンジェリーナ。管理するスタッフはどんな評価をしているのだろうか。関西競馬専門紙のトラックマンが話を聞いてきた。

「エヴァンジェリーナについて、スタッフは『まだ追い切りはそれほどやっていないけど、走り自体はいいものがあるし、能力は感じる』とコメント。続けて、『お母さんに似ている部分も見えますよ』と言って、現時点でもそれなりに手応えを感じているようでした。

 とはいえ、陣営は現状に満足することなく、『これから成長するなかで、より母に近づいてほしい』と話していました。

 そうしたなかで、『追い切りを重ねるごとに動いてきていますし、徐々によくなるタイプだと思うので、長い目で見ていきたい』とスタッフ。血統的に期待値が高いこともあって、じっくりと大事に育てていくようです」

 初陣の予定は、11月19日の2歳新馬(京都・芝2000m)。はたして、エヴァンジェリーナは偉大なる母を彷彿させるような走りを見せてくれるのか、注目したい。

関連記事

キーワード

このページのトップに戻る