凱旋門賞初制覇を狙う日本調教馬にとって、強力なライバルとなる外国馬4頭 (3ページ目)

  • 土屋真光●文 text&photo by Tsuchiya Masamitsu

 渋った馬場となれば、昨年の覇者トルカータータッソ(牡5歳/ドイツ)も侮れない。昨年は超人気薄で波乱を演出したが、その時と同様の馬場となれば、連覇を果たす可能性は十分にある。

 ただ、同馬よりも怖い存在として、ここでピックアップしたいのは、トルカータータッソを管理するマルセル・ヴァイス調教師が「軽視しないほうがいい」と注意を促す、メンドシーノ(牡4歳/ドイツ)だ。

 この馬も、深く力の要る馬場は歓迎のクチ。前走のGIバーデン大賞(バーデンバーデン・芝2400m)では、トルカータータッソをアタマ差退けて快勝している。

 昨年のGIバイエルン大賞(ミュンヘン・芝2400m)でも、馬場の重いインコースを突いて前出のアルピニスタと僅差の勝負を演じている。しかも、昨年トルカータータッソの手綱をとったレネ・ピーヒュレク騎手が、今年はこのメンドシーノの鞍上を務めるという。不気味な存在と言える。

 最後に取り上げたいのは、イギリス調教馬のウエストオーバー(牡3歳)だ。

 前走のGIキングジョージ6世&クイーンエリザベスS(アスコット・芝2390m)では、1番人気に推されながらスタート直後から折り合いを欠いて、6頭立ての5着と惨敗。凱旋門賞においては、欧州各ブックメーカーの評価は6番人気相当の評価にとどまっている。

 しかし、同馬は3走前の英国ダービーで圧巻のレースぶりを披露している。最後の直線を迎えて「ここから」というところで、脚色がなくなった馬たちに囲まれて完全に行き場を失ってしまったのだが、わずかな隙をついて外に出すと、猛烈な伸び脚で強襲。スムーズだったら......と思わせるキレ味を見せて3着と奮闘した。

 そして、続く2走前のGIアイリッシュダービー(カラ・芝2400m)では、英国ダービーでのうっ憤を晴らすかのように、2番手追走から直線で一気に突き抜けていく。最後は後続に7馬身差をつける圧勝劇を演じた。

 キングジョージ6世&クイーンエリザベスSでは苦杯をなめたものの、潜在能力の高さは凱旋門賞出走予定馬のなかでもトップクラス。日本では欧州の各ブックメーカーよりもさらに人気薄となるかもしれないが、軽視は禁物。日本馬にとって、手強いライバルになりそうだ。

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