エルムSは種牡馬成績から2頭を厳選。末脚の切れる8連勝中の馬が本命、対抗はダート1700m巧者の7歳馬

  • 平出貴昭●文 text by Hiraide Takaaki
  • photo by Sankei Visual

 8月7日、札幌競馬場で3歳以上による重賞、GⅢエルムS(ダート1700m)が行なわれる。

前走の報知杯大雪Hを勝利したブラッティーキッド前走の報知杯大雪Hを勝利したブラッティーキッドこの記事に関連する写真を見る このレースは北海道地区で開催される唯一のJRAダート重賞。昨年は東京五輪の影響で、2013年以来2度目となる函館で行なわれており、今年は2年ぶりの札幌開催となる。ただ、函館でのレースも同じ右回りの1700m戦で、最後の直線も函館が260.3m、札幌が264.3mとほとんど変わらないため、函館のレースもふまえつつ、血統的視点から分析していきたい。

「札幌・ダート1700m」の過去10年の種牡馬別成績を見ると、勝利数では出走206レースで19勝(勝率9.2%、連対率15.5%)のキングカメハメハ産駒がトップ。以下、今回のレースに産駒が出走する予定の馬では、ハーツクライ産駒が出走122レースで15勝(勝率12.3%、連対率23.0%)、シニスターミニスター産駒が出走85レースで10勝(勝率11.8%、連対率23.5%)と続く。

 今回はこの中から、連対率トップのシニスターミニスター産駒、ブラッティーキッド(牡4歳、栗東・中尾秀正厩舎)を中心に狙ってみたい。

 シニスターミニスターといえば、「現役のダート最強馬」と言えるテーオーケインズや、昨年の地方交流GⅠ全日本2歳優駿を勝ったドライスタウトの父でもある。さらに、今年の地方交流GⅠ帝王賞を勝ったメイショウハリオや、昨年の地方交流GⅠJBCクラシックを勝ったミューチャリーの父パイロと同じエーピーインディ系と、近年のダートでの躍進が目立つ父系だ。

 ブラッティーキッドは昨年4月にデビューし、JRAで11戦して勝ち上がれなかったが、移籍した兵庫で6戦5勝という成績を残してJRAへ復帰。その後は、今年6月の3歳上1勝クラス(函館・ダート1700m)、7月3日の竜飛崎特別(函館・ダート1700m)、7月24日の報知杯大雪H(札幌・ダート1700m)と、3連勝してここに臨んでくる。

 特に大雪Hは完勝と言える内容だった。道中は中団の外めを回り、勝負どころではやや反応が鈍かったものの、直線半ばで抜け出すとゴール前では後続に2馬身半の差をつけた。重賞は初出走で、ローテーションも中1週と楽ではない。しかし鋭い末脚は、展開が速くなり先行馬に厳しくなりがちなオープン、重賞クラスでは大きな武器となるし、兵庫でのレースも含めて8連勝中という勢いは買ってみたい。

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