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オークスは逃げ馬に要注意のわけ。スロー慣れしたこの世代の牝馬は大逃走に対応できるか (2ページ目)

  • 大西直宏●解説 analysis by Onishi Naohiro
  • photo by Sankei Visual

 2歳時にGIIIアルテミスS(東京・芝1600m)を勝った時、僕は「この馬はオークスに向きそうだな」という感想を持ったのですが、今でもその思いは変わりません。鞍上も過去3年のオークスで2勝を挙げているミルコ・デムーロ騎手。ここは、自信を持って乗ってきそうですね。

 桜花賞を制したスターズオンアース(牝3歳)も、オークスの舞台にはいいイメージがあります。ドゥラメンテの子で、脚長で大きなストライド走法ですから、もともと長い距離が合いそうだなと思っていました。

 むしろ、桜花賞のような馬群が密集する競馬でよく勝ちきったな、というのが正直なところ。僕が考えている以上に、対応力があるのかもしれません。走る毎に鞍上が替わる点が気がかりですが、今回もクリストフ・ルメール騎手なら不足はないでしょう。

 前走でリステッド競走の忘れな草賞(4月10日/阪神・芝2000m)を勝ったアートハウス(牝3歳)も注目です。

 川田将雅騎手が乗った2戦はどちらもスローペースを折り合って、終(しま)いで突き放す競馬で勝ち上がりました。前走も、オークスへ向けての予行演習という点でも満点の競馬をしていると思います。多頭数の競馬や初の長距離輸送などをクリアできれば、有力候補の1頭になります。

 ここまで有力馬を見てきましたが、僕がひとつ気になっているのは"3歳牝馬路線がスローの競馬ばかりであること"です。桜花賞をはじめ、忘れな草賞も、GIIIフラワーC(3月21日/中山・芝1800m)も、GIIフローラS(4月24日/東京・芝2000m)も、オークスの前哨戦と呼ばれるレースはすべてスローでした。

 特にフローラSでは前がスローで逃げているにもかかわらず、誰も追いかけずに縦長の隊列になりました。前が飛ばしているように見えて、実はそんなにペースは速くないというレースだったんですよね。後続の乗り役が勘違いすることで起こる現象ですが、折り合いを重視しすぎると、そんな展開になる場合があります。

 それを演出したのが、2着に粘り込んだパーソナルハイ(牝3歳)の手綱をとった吉田豊騎手。吉田豊騎手と言えば、今年はパンサラッサとのコンビで中山記念を逃げきって、その後、海外GIのドバイターフでも迷いなく逃げて栄冠をつかみました。基本的に「行く」と決めたら、思いきった騎乗をするジョッキーです。

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