2020.12.22

有馬記念で史上最高の復活劇。トウカイテイオーが起こした奇跡に感涙

  • 新山藍朗●文 text by Niiyama Airo
  • photo by Kyodo News

「本当に強い馬は、休み明けなんか、モノともしない」

 ずいぶんと前のことになるが、これは取材の際に聞いた、ある競馬関係者のコメントだ。

 休み明けで出走した有力馬が負けると、その敗因を休み明けのせいにすることがよくある。だが、それは、もともとその程度の馬だったからで、何事もなかったかのように克服して見せるのが、本当に強い馬だ――冒頭のコメントには、そういう意味が含まれていた。

 そこで思い出すのが、トウカイテイオーである。

 1993年のGI有馬記念(中山・芝2500m)で、前年の有馬記念(11着)以来の出走というハンデをモノともせず、見事な復活優勝を飾った。

 オグリキャップやグラスワンダーなど、有馬記念では感動的な復活劇がいくつもある。なかでも、とりわけ鮮やかで、しかも奇跡的という意味においては、トウカイテイオーの復活劇に勝るものはない。

有馬記念で劇的な復活勝利を飾ったトウカイテイオー有馬記念で劇的な復活勝利を飾ったトウカイテイオー  デビューから無傷の6連勝で無敗の二冠馬となったトウカイテイオー。同世代相手の競馬では無敵を誇り、三冠達成は確実視されていた。

 ところが、ダービー後に骨折が判明。これが、トウカイテイオーの三冠馬への野望を打ち砕いた。さらに、この骨折から二度、三度と骨折を繰り返して、無敗の美しい蹄跡も次第に傷ついていく。

 トウカイテイオーは見栄えのする馬体の持ち主で、力強く、バネの利いた走りをする。"骨折癖"とも思える度重なる故障は、そんな彼の走りに原因があったのかもしれない。

 よく言われるように、やはり"走る馬"ほど、壊れやすい。トウカイテイオーもその宿命とは無縁ではなかった、ということだろう。