父キンカメで期待膨らむ。ダンスディライトは偉大な母を超えられるか

  • 河合力●文 text by Kawai Chikara

厳選!2歳馬情報局(2018年版)
第30回:ダンスディライト

 近年、日本競馬界では牝馬の躍進が目立つ。その先駆けとなったのは、2000年代に活躍したウオッカやダイワスカーレットだろうが、彼女たちが躍動する数年前にもファンの心に残る奮闘を見せた牝馬がいる。

 2003年から2006年まで現役生活を送っていたダンスインザムード(牝/父サンデーサイレンス)である。

 彼女は、デビュー前から注目されていた。というのも、名繁殖牝馬として知られていたダンシングキイの娘だったからだ。

 とにかく、ダンシングキイが送り出した子どもたちの活躍は凄まじかった。GI2勝のダンスパートナー(牝/父サンデーサイレンス)をはじめ、GI菊花賞を制したダンスインザダーク(牡/父サンデーサイレンス)、重賞3勝のエアダブリン(牡/父トニービン)らがそうだ。

 ゆえに、ダンスインザムードの注目度が高かったのは当然で、その活躍を関係者はもちろん、多くのファンが期待していた。そして実際、彼女はその期待どおりの活躍を見せたのである。

 デビューから楽勝で3連勝を飾ると、GI桜花賞(阪神・芝1600m)に駒を進めた。そこでも、武豊騎手を背にして1番人気の支持を得ると、直線で早々に先頭に立つ強気の競馬を披露。ライバルたちに影をも踏ませぬ完勝劇を演じて、クラシック制覇を果たした。

 その強さは、当時の実況アナウンサーが「恐ろしいほどの天才少女」と形容するほど際立っていた。

 その後、オークス(東京・芝2400m)は4着に敗れるも、アメリカンオークス(アメリカ・芝2000m)に果敢に挑戦。2着と健闘した。

 その結果から、牝馬三冠最終戦となる秋華賞(京都・芝2000m)では巻き返しが期待されたが、断然の1番人気に推されながら4着と完敗。結局、3歳時のタイトルは桜花賞の一冠のみに終わった。

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