大西直宏が読むダービー。
サニーブライアンに似たアルアインが侮れない (2ページ目)
ただ、皐月賞に関しては、昨年のほうがレベルの高い競馬に見えました。
ひとつ気になって少し調べてみると、今年の皐月賞当日、皐月賞と同じ距離で行なわれた古馬1000万条件の鹿野山特別でも、勝ち時計が1分58秒7。特別ハイペースというわけでもなかったのですが、この好時計が記録されました。同じくこの日の最終レースである春興S、古馬準オープンの芝1600m戦でも1分32秒5と、例年に比べてかなり速いタイムの決着となりました。
対して、昨年の鹿野山特別の勝ち時計は2分00秒1、春興Sは1分35秒9。それぞれ、昨年のほうがスローで流れていたため、多少時計がかかったところはありましたが、それにしては終(しま)いの上がりタイムがそんなに速くありませんでした。
メンバー構成や展開で変わることもあるので一概には言えませんが、今年の馬場は速い時計が出やすい、特殊な状態だったように思います。つまり、時計では勝っていても、今年の皐月賞が昨年ほどレベルの高いレースだったのかというと、そうとは言い切れないということです。
翻(ひるがえ)って、青葉賞とプリンシパルSの同日は、他のレースで驚くような時計は出ていません。とりわけ、青葉賞の日は昨年のほうが速い馬場だったように思えます。そう考えると、青葉賞を勝ったアドミラブルは、その数字どおりの評価をしていいのでしょう。
レースの内容自体、かなり大雑把な競馬で、まさに"前哨戦""叩き台"という印象がありました。おそらく、余力を残してレースに挑んでいたのでしょう。それでいて、レースレコードをマークして快勝してしまうのですから、相当な器であることは間違いありません。
今回は、大目標のレース。さらに上積みがあれば、皐月賞組を一蹴してしまう可能性は十分あるでしょう。第一、鞍上のミルコ・デムーロ騎手が皐月賞2着のペルシアンナイトではなく、こちらを選択したわけですしね。青葉賞馬がダービーに勝てないというジンクスが破られるのか、楽しみです。
このアドミラブルに対抗する皐月賞組ですが、2着ペルシアンナイトは内目の「ここしかない」というところを通っていました。そこを通したデムーロ騎手の手腕もあると思いますが、皐月賞はちょっと「うまくいきすぎ」といった感がありました。過信は禁物かもしれません。
3着ダンビュライトは、自らファンディーナを封じ込みに動いて3着と健闘。しぶい競馬を披露しました。相手なりのタイプなのでしょうが、ダービーでも勝ち切るにはもうワンパンチ足りないような気がします。
4着クリンチャーもしぶとい競馬で奮闘しました。ただ、馬場に恵まれたところも多分にあったと思います。
5着レイデオロ、6着スワーヴリチャードの2頭は、皐月賞は試走というか、タービーに向けての叩き台のように見えました。もしかすると、それを見越してトライアルを使わずに皐月賞に直行したのかもしれません。そういう意味では、先に挙げた上位勢よりもこの2頭のほうがダービーでの好走が期待できそうです。
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