大西直宏が読むダービー。サニーブライアンに似たアルアインが侮れない

ダービージョッキー
大西直宏が読む「3連単のヒモ穴」

 いよいよ"競馬の祭典"日本ダービー(5月28日/東京・芝2400m)が開催されます。

 ダービーはなぜ「祭典」とまで言われるのか。

 以前にも触れたことがありますが、ダービーというのは、騎手、調教師、生産者、馬主、そして厩舎スタッフを含めたすべてのホースマンが憧れて、目標としているレースです。しかも、天皇賞や有馬記念とは違って、競走馬にとっては一生に一度しかない舞台で、出走するだけでも大変なレースなのです。

 ゆえに、天皇賞や有馬記念、その他にも多くのGIがありますが、それらどのレースにもない、独特の雰囲気に包まれます。当日の競馬場はもちろん、週中のトレセンでも、いつもとは違う"ならでは"のムードが漂っています。それほど、ホースマンにとって"特別なレース"。それが、ダービーです。だからこそ「競馬の祭典」なのです。

 そして今年も、その夢の舞台に18頭の精鋭がそろいました。

 今年の3歳世代は、春先まではソウルスターリングをはじめとする牝馬の活躍が目立っていたため、「今年の牝馬はレベルが高い」と世間では言われていました。そうした世評によって、皐月賞(4月16日/中山・芝2000m)では牝馬のファンディーナが1番人気に支持されました。

 しかし、このことは早くからいろいろなところで言っていたのですが、僕は世間が思っているほど、牡馬が弱いとは思っていませんでした。一般的に「牝馬が強い」という評価になったのは、レイデオロをはじめ、スワーヴリチャードやペルシアンナイトなど牡馬の一線級がトライアルを使わずに皐月賞へ直行。クラシック本番直前に、そこまで印象に残る活躍を見せていなかったからでしょう。

 もちろん、皐月賞ではファンディーナもよく走っていたと思います。もし前哨戦で、牝馬限定のフラワーC(3月20日/中山・芝1800m)ではなく、スプリングS(3月19日/中山・芝1800m)とか、若葉S(3月18日/阪神・芝2000m)などに出走し、牡馬のオープン級と対戦していれば、また違う結果だったかもしれません。牝馬が牡馬の一線級と初めて対戦するときの壁は、能力や時計だけでは推し量れないものがあるんですよね。

 その皐月賞、レースレコード決着だった昨年を凌いで、コースレコードと同タイムの1分57秒8で決着しました。昨年の勝ち時計がレベルの高い"快時計"だと思っていたので、今年のこの時計にはちょっと驚かされました。

 さらに、トライアルの青葉賞(4月29日/東京・芝2400m)でも同レース史上初となる2分23秒台のレースレコード(2分23秒6)が記録され、翌週のプリンシパルS(5月6日/東京・芝2000m)でも勝ちタイムは1分58秒3とレースレコードを大きく更新。ダービーの優先出走権が与えられる前哨戦がすべてレースレコード決着という、すごい年になりました。

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