中山記念、強力4歳勢の逆転候補は「条件合う」イスラボニータ (2ページ目)

 今回の舞台は、昨春2着だったものの、強烈な脚を使って勝ちに等しいレースを見せたスプリングS(2015年3月22日)と同じ。また、1800mという距離は、ドゥラメンテを破った共同通信杯(2015年2月15日/東京・芝1800m)と一緒です。リアルスティールも菊花賞(2015年10月25日/京都・芝3000m)以来のレースとなりますが、骨折で戦列を離れていたドゥラメンテと違って、この間は英気を養う意味での休養期間でした。その点では、ドゥラメンテよりも仕上げやすく、計算しやすい状態にあるだけに、逆転の可能性は十分にあると思います。

 もう一頭、上記2頭と同世代のアンビシャス(牡4歳)も気になる存在です。そもそも同馬は、リアルスティールがドゥラメンテを破った共同通信杯で3着だった馬です。その後、大きく成長して、昨夏にはラジオNIKKEI賞(2015年7月5日/福島・芝1800m)で重賞も制覇。そして昨秋は、毎日王冠(6着。2015年10月11日/東京・芝1800m)、天皇賞・秋(5着。2015年11月1日/東京・芝2000m)と、古馬のトップレベル相手に善戦してきました。

 その秋の2戦は、M・デムーロ騎手が手綱をとっていましたが、何か手が合わないような感じでしたね。しかし今回は、新馬戦ほか、前述のラジオNIKKEI賞でも騎乗したクリストフ・ルメール騎手に戻ります。同騎手とは、3戦3勝と手が合うだけに、共同通信杯で後塵を拝した2頭に迫り、逆転まであってもおかしくないでしょう。

 ドゥラメンテ、リアルスティール、アンビシャス。注目の明け4歳馬3頭がどんな争いを見せるのか、本当に楽しみです。

およそ1年半ぶりの勝利が期待されるイスラボニータおよそ1年半ぶりの勝利が期待されるイスラボニータ 見どころ満載の中山記念ですが、「ヒモ穴馬」には一昨年の皐月賞馬イスラボニータ(牡5歳)を取り上げたいと思います。

 イスラボニータは、昨年もこのレースから始動。しかし、どうも本調子を欠いていたようで5着に敗れました。実際にその後、再び休養に入りましたから、馬自体の状態が本来のモノではなかったかもしれません。もし叩き台であれば、そのまま続戦していたはずです。

 結局、そうした状態に陥ったのは、古馬一線級と戦った3歳秋の激しい連戦が響いたのではないでしょうか。特にジャパンC(2014年11月30日/東京・芝2400m)では、オツリも残らないような走りで9着と大敗を喫しましたからね。そこからの立て直しは、さすがに簡単ではなかったと思います。

 ともあれ、5着に終わった中山記念のあと、無理に使わずに休ませたことで、復帰した秋にはこの馬らしい競馬を見せてくれました。毎日王冠、天皇賞・秋、マイルCS(2015年11月22日/京都・芝1600m)と、3戦とも3着でしたが、改めて地力の高さを証明しました。

 今回の臨戦過程は昨年よりもいいですし、調整具合も昨年より順調だと思います。皐月賞を制しているように、中山の舞台も合います。昨秋の東京2戦では、抜群の手応えで直線を向きながら、最後の最後で伸び負けしていました。結局、上がりが速く、長くいい脚を必要とされ、究極の決め手勝負となる東京コースよりも、直線に入ってからゴールが近く、一瞬の切れ味で勝負できる中山コースのほうが、イスラボニータには向いているのでしょう。

 一発あっても不思議ではありません。期待が膨らみます。

大西直宏オフィシャルブログ>

プロフィール

  • 大西直宏

    大西直宏 (おおにし・なおひろ)

    1961年9月14日生まれ。東京都出身。1980年に騎手デビュー。1997年にはサニーブライアンで皐月賞と日本ダービーの二冠を達成した。2006年、騎手生活に幕を閉じ、現在は馬券を買う立場から「元騎手」として競馬を見て創造するターフ・メディア・クリエイターとして活躍中。育成牧場『N.Oレーシングステーブル』の代表も務め、クラシック好走馬を送り出した。

2 / 2

関連記事

キーワード

このページのトップに戻る