【競馬】菊花賞、1番人気ワンアンドオンリーに死角あり!?

  • 土屋真光●取材・文 text by Tsuchiya Masamitsu
  • photo by Nikkan sports

 3歳牡馬クラシックロードの最終関門菊花賞(10月26日/GI・京都・芝3000m)は、現在の日本の競馬番組の中でも特異な競走だ。例えば同じように長距離を走る天皇賞・春(GI・京都・芝3200メートル)でも、前哨戦には距離の近い阪神大賞典(GII・阪神・芝3000メートル)が組まれている。3歳三冠路線を振り返ってみても、皐月賞(GI・中山・芝2000メートル)には同距離の弥生賞(GII・中山・芝2000メートル)や若葉ステークス(オープン・阪神・芝2000メートル)があり、日本ダービー(GI・東京・芝2400メートル)も青葉賞(GII・東京・芝2400メートル)と、本番を見据える上で条件の近い前哨戦が行なわれている。

22日坂路で追い切ったワンアンドオンリー。調整は順調22日坂路で追い切ったワンアンドオンリー。調整は順調

 しかし、菊花賞はもっとも距離が近い前哨戦で神戸新聞杯(GII・阪神・芝2400メートル)となり、本番との距離の差は600メートル。故に距離面で未知の要素が多く、それが波乱の一因となることも少なくない。かと思えば、昔からある「皐月賞は最も速い馬が、ダービーは最も運が良い馬が、菊花賞は最も強い馬が勝つ」という格言のように、絶対能力の違いが距離適性も凌駕して制するケースもあるのが菊花賞の特徴だ。去年のエピファネイアはまさにそのパターンだろう。

 さて、今年はというと、ワンアンドオンリーが中心になるのは衆目の一致するところ。管理する橋口弘次郎調教師に悲願のダービー制覇をもたらし、秋緒戦の神戸新聞杯ではゴール前で交わされそうになりながらも逆に捻じ伏せるようなレースぶりを見せた。皐月賞を制し、同じように秋緒戦のセントライト記念を勝ったイスラボニータが不在となれば、圧倒的な1番人気は当然だろう。

 しかし、一本被(かぶ)りである今回のワンアンドオンリーの人気を危険視する声も少なくない。先週も磐石と思われたオークス馬ヌーヴォレコルトが、ショウナンパンドラの前に敗れたばかりだ。


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