【競馬】函館2歳S、熾烈な先行争いで浮上するのは、ファイトバック
ダービージョッキー
大西直宏が読む「3連単のヒモ穴」
今夏デビューしたばかりの若駒(2歳馬)による函館2歳S(函館・芝1200m)が、7月21日に開催されます。
3歳クラシックの桜花賞や皐月賞はよく、人間で言えば「高校生の運動会」と例えられます。それから遡(さかのぼ)って、2歳の暮れに行なわれるGI、阪神ジュベナイルフィリーズや朝日杯フューチュリティステークスは、「中学生の運動会」と言われることが多いですね。そうすると、今の時期の2歳馬は、小学校の低学年くらい、といったところでしょうか。
それほど、馬はまだ幼く、体が固まっていないため、フィジカル面はまったくの未完成です。メンタルな面に関しても、キャリアが浅く、どういう気性なのかつかみづらいところがあります。
新馬戦では1番人気に応えて、強い競馬を見せたファイトバック。
重賞とはいえ、函館2歳Sに臨むのは、そんな馬たちです。新馬戦を勝ち上がったばかりの、キャリア1戦の馬がほとんどです。よって、2戦目ということで期待される変わり身が、プラスに出るとは限りません。
というのは、1回"競馬"を経験したために、「もう競馬は嫌だ」と感じてしまう場合が意外とあるからです。競馬というのは、馬にとってみれば、無理に走らされ、ムチで叩かれ、厳しいことづくしです。だから、馬によっては「もう走りたくない」というケースがあるのです。新馬戦でものすごく強い勝ち方を見せながら、その後はさっぱりという馬を、実際にご覧になった方も多いのではないでしょうか。それが、まさにこのパターンです。
また、この時期の勝利は、たいてい逃げ切りか、2番手からの抜け出し。仕上がりの差やスピードの差で、スムーズに先行できた馬が勝ち上がってきます。しかし今回は、そんなメンバーの集まり。先行争いが激化するのは必至で、大半の馬がハナを奪えずに中団から後方の競馬を強いられます。そこで、初めてプレッシャーのかかる競馬を経験し、脆(もろ)さを露呈してしまう馬が出てくる場合もあります。
一方で、激しい先行争いを制した馬は、ここでも何らプレッシャーを感じることなく、すんなりとレースを進められるでしょう。
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