有村智恵がラウンドリポーターとして見たセントアンドリュースでの全英女子オープン 印象に残った選手は? (3ページ目)
【7位タイと健闘の西郷真央は一番いいショットを打っていた】
――日本人選手のプレーをご覧になって、印象に残っている選手はいますか?
決勝ラウンドの2日間は、(7位タイと健闘した)西郷真央選手につかせていただいたのですが、おそらく彼女のなかでは、悔しさのほうが勝っていると思うんです。私が見ていた2日間、あの風のなかで、彼女がミスをしたのは3、4回しかありませんでしたから。
ティーショット、セカンドショット、ロング(ホール)のサードショットも含めると、1日で40回ぐらいはショットを打っているはずなんですけど、最終日にはミスと言えるのは2ショットだけでしたね。2番ホールのティーショットと16番ホールのセカンドショット。あとは本当に完璧でした。
完璧なショットを打ったとしても、いいところにつかないし、変なところに行ってしまうコースなので、精神的に結構きついんです。自分を疑うし、風を疑うし、わからなくなる。そんななか、いいショットを打ち続けていた姿を見て、改めて彼女の技術の高さと精神力の強さを実感させられました。
あの風のなか、距離感も合わせられていましたし、距離感が多少前後しても、方向がブレたショットもほとんどありませんでした。うまくボールにコンタクトするだけじゃなく、風に対しても負けない強い球を打っていかないと、とてもじゃないけどあの風のなかでコントロールはできません。ショットだけで見たら、彼女が一番いいショットを打っていたんじゃないかなって思いながら見ていましたね。
――西郷選手の正確性と、そしてパワーも活きた。
たとえば、セントアンドリュースの14番ホール(577ヤードのロングホール)は、女子選手だとかなりパワーある選手じゃないと(2打でグリーンに)乗らないんです。3日目に、彼女がラフから2打目を打ったシーンがありましたけど、ラフはラフでも、フェアウェーから左に落ちていったラフで、グリーンを狙うには高さも出さなければいけない状況でした。
ラインもちょっとつま先上がりだったと思います。日本のラフみたいにちょっとボールが浮いていてくれることもなく、少し粘り気があるラフだったので、球の高さを上げられるかなって、心配しながら見ていたんです。
すると、高さも出たすごくいい球で、グリーンまで運びましたよね。ピンまで270ヤード前後はあったと思うのですが、キャリーで220ヤードくらい打ってから転がっていって。あの位置からよくここまで打ってこられたな、というパワーと正確性が兼ね備えられたショットでしたね。
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