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【ゴルフ】堀琴音のメジャー制覇の立役者 復活請負人・森守洋コーチの指導法「僕はゴルフスウィングを教えない」

  • 古屋雅章●取材・文 text by Furuya Masaaki
  • 村上庄吾●撮影 photo by Murakami Shogo

 堀琴音が、3年ぶりの優勝を国内女子メジャーの『日本女子オープンゴルフ選手権』で果たした。堀は、2018年のシーズン途中から森守洋コーチの指導を受けているが、18年、19年は出場全試合で棄権を含む予選落ちというどん底に陥りながら、20-21年シーズンにはツアー初優勝を遂げ劇的復活を果たしている。森と言えば、15年に7年ぶりの優勝を遂げた原江里菜(ツアー通算2勝)、さらに今季5月の『パナソニックレディスオープン』で1年7か月ぶりに優勝した菅沼菜々(ツアー通算3勝)、8月の『NEC軽井沢72ゴルフトーナメント』で6年ぶりに復活優勝を果たした柏原明日架(ツアー通算3勝)らをサポートするなど、"復活優勝請負人"との呼び声高いコーチだ。その柏原は、森のことを「楽観的な思考」の持ち主であるとし、それが何ごとも突き詰めて考える自分との間でうまくバランスが取れていると言っている。若手の台頭が著しい女子プロゴルフ界で、長きにわたって優勝から遠ざかる選手たちを復活優勝へと引き戻す、奇才・森守洋の「楽観的思考」と、アマチュアゴルファーにも通ずるそのコーチング理論を探る。

奇才・森守洋のコーチング理論・全3回中の前編

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【2018年から指導する堀琴音がメジャー制覇】

森(以下同)「こっちゃん(堀琴音)がシーズン開幕から予選落ちが続いていた2018年の7月の試合で、本人からコーチを頼まれていたので、どんな状況なのか見に行ったんです。練習場で『PWでターフを取ってみて』と言ったんだけど、ターフが取れないんですよ。プロゴルファーがターフを取れないって、クラブの意識がまったくないということなので、これはスウィングがどうこうじゃなくって、クラブの意識を高めていくことが先決だな、と。

 最初の頃はいろんな素振りをさせたり、ティを打たせたり、ティアップしたボールを打たせたりして、体の動きではなくクラブの動きを整えるようにしました。スウィングを変えるつもりはまったくなかったです。こっちゃんの場合、フェース面を変えずに使うタイプのスウィングで、フェース面を暴れさせずに使う感覚を持っています。だから彼女のショットはピンを差して飛んでいくんです。

 ただ、このタイプの選手はフォローサイドでヘッドが低く抜けていくので、ドローよりもフェードのほうが相性がいいとわかっていました。なので、『フェードを打てば?』と言っていたんですが、本人は『ドローしか打たない』と、ずっと無視するので、『まあ、いいや』って思っていたんですけど(笑)。ようやくフェードに変えて臨んだ2020-2021シーズンの開幕戦のダイキン(・オーキッドレディス)では、2年ぶりの予選通過をしているんですよね。

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女子ゴルフツアーで躍動する選手たち

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