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【ゴルフ】堀琴音のメジャー制覇の立役者 復活請負人・森守洋コーチの指導法「僕はゴルフスウィングを教えない」 (3ページ目)

  • 古屋雅章●取材・文 text by Furuya Masaaki
  • 村上庄吾●撮影 photo by Murakami Shogo

「僕は、スポーツの技や体の動きを習得する時には、『身体意識』と『道具意識』のふたつのアプローチの仕方があると思っていて。例えば100メートル走なんかの場合は、ほぼ『身体意識』がすべてじゃないですか。

 でもゴルフのように道具を使うスポーツには、『身体意識』とは別に、クラブをどのように扱うかといった『道具意識』があるわけです。選手がスウィングを教わって調子が悪くなる原因は、ほぼほぼ『身体意識』のことからなんです。肩が入っていないとか、もっとクラブをシャローに入れていきなさいというのも、これも『身体意識』の話です。

 プロゴルファーのトップ選手なんかは、子供の頃から『道具意識』が高かったので天才と言われてココまで来た人たちなのに、プロになって『身体意識』の方ばかりをねじ込まれていくと、天才をつかさどっていた『道具意識』がどんどん減じて"普通の人"になっちゃうんです。そういう人に『身体意識』のほうから修正しようとしても上手くいくわけがないので、僕はスウィングを教えないということなんです」

 「道具意識」に優れたプロが、「身体意識」を主体にスウィングを考えるようになって起こったスランプ的な状況に、森コーチが与えた課題とはどういったものなのか。

「ある日本の女子プロが、アメリカ人のコーチから受けたレッスンのほとんどが『身体意識』からのアプローチで、例えば『上下の捻転差をもっと強くしろ』とかそういうことばかりだったから、彼女にしてみれば『何ソレ?』ってなったらしいんです。それでおかしくなっていったんだから、体の動きやスウィングの形をいじってもダメで、要はゴルフクラブの動きが元のようによくならないと変わらないわけです。

 だから僕なんかは、『ペットボトルをクルクル回させる』とか、そういうところからスタートするんです。やることは、ペットボトルのキャップの部分に紐をくくりつけたものを、自分の正面で『右回り』で回すだけです。それで、ブンブンと回すことに慣れてきたら、今度はクラブで同じように右回りでブンブンと回すことをやる。しばらく経って、ティアップしたボールを打たせると、芯を食って当たります。『え、何で?』ってなるけれど、特別なことをやっているわけではなくて、うちのスクールの一般アマチュアの会員さんにもやってもらいますけど、同じように芯を食った当たり方をします」

森が主催するゴルフスクールにはペットボトルの練習器具が用意されているこの記事に関連する写真を見る

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