【ゴルフ】堀琴音のメジャー制覇の立役者 復活請負人・森守洋コーチの指導法「僕はゴルフスウィングを教えない」 (4ページ目)
【ペットボトルを回すだけで調子が良くなる理由】
「ペットボトルに紐を巻いて回すと回転の円弧は安定する。力んだって円弧は崩れない、円弧が崩れるのは回転の速度が落ちる時、だから当てに行かずとにかく振る、これは物理です。だから僕がやっていることは、円を描かせているだけなんです。その時に、トップの位置はココとか、腰を切るといった『身体意識』はいっさい考えないで、ひたすらペットボトルを回すといった『道具意識』に集中しているだけです。『身体意識』でスウィングを作ろうとして『道具意識』が薄れているんだから、僕は『形なんてどうでもいいんだよ』って伝えます。
プロになるような人は、子供の頃から『道具意識』が高くて天才と言われてきた人たちだって言いましたけれど、その(ゴルフにおける)『道具意識』で絶対に守らなければならない原則は、道具を『引っ張って』使えているかということなんです。僕のところに不調になった選手たちが来た時に、やることは子供の頃にやっていたこの状態に戻すこと、この原則や感覚を導き出すことなんです」
ペットボトルを回す感覚のままボールを打つと芯を食うというこの記事に関連する写真を見る ペットボトルを体の正面でクルクルと回している時に紐はピンと張っているが、これは糸を引っ張る「張力」が遠心力で、外に向かおうとするボトルを自分の方に引っ張って円運動を持続させている現象だ。まさに手で糸を「引っ張って」いるということになる。スウィングの調子を崩しているのがこの「引っ張る力」の強弱やタイミングの乱れだとして、この微妙な感覚を「身体意識」で直していくことは難しい。
そこで、ペットボトルを振り回しながら「道具意識」で感覚を呼び覚まして、それをクラブのスウィングにつなげていくというのが、森守洋コーチの再生法のファーストステップというわけだ。ツアーで優勝もしているプロゴルファーにペットボトルをクルクル回させるとは、「楽観的思考」の奇才・森守洋らしいやりかたである。
(つづく)
Profile
森守洋(もり・もりひろ)
1977年2月27日生まれ、静岡県出身。高校時代にゴルフを始め、95年に渡米しサンディエゴにて4年間ゴルフを学ぶ。帰国後、陳清波プロと出会い、陳先生のゴルフに感銘を受ける。2002年よりレッスン活動を開始し、現在は複数のツアープロのコーチも務める。
女子ゴルフツアーで躍動する選手たち
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