「賞金女王は仕方ない」一度は諦めた稲見萌寧。コーチが語った快進撃の要因とは? (3ページ目)
結局、最終日を4バーディー、3ボギー、1ダブルボギーの「73」で回って9位タイでフィニッシュ。3位タイで終わった古江に約845万円差をつけ、稲見が2020-2021シーズンの顔となった。
「(古江は)アマチュア時代から一緒に戦ったり、同じチームになったりしてきた。本当に仲のいい選手ですし、どうしてこんなに安定してうまいんだろうと、尊敬できる部分がたくさんある。これからも競って戦っていけるように私も頑張っていきたい」
最終戦でキャディーを務めたのは、2018年末から師事する奥嶋誠昭コーチだった。賞金女王が決定し、稲見を祝福した奥嶋コーチは、1年半に及んだ快進撃の要因をこう語った。
「パターが入るようになったのが一番でしょうね。ショットの精度、調子は2019年のほうがよかった。2019年シーズンが終わってから、本人は『距離を伸ばし、パーオン率を伸ばしたい』と言っていた。だけど、それは失敗しました。この2年間、ショットに関しては苦しんでいたと思います。
腰痛によって、練習量は3分の1ぐらいになった。これまでは練習量をこなすことで自信にしていた。その練習ができなくなって心配していましたが、伊藤園で勝てましたからね。練習の量よりも中身が大事だと気づけたのも大きかったのではないでしょうか」
苦しみ抜いた賞金女王レースを勝ち抜き、その座についた稲見に去来したのは、かねてより自身のなかで大切にし、大きな目標としている永久シードだ。
「私のゴルフは完璧ではない。すべて完璧を目指して、もっともっと最強のゴルファーになれるようにすべてを極めていきたい」
飛躍のシーズンを終えた稲見の表情は、充足感や安堵感よりも、来季以降の自身へ向けた期待がみなぎっていた。
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