渋野日向子のスイング改造は成功するのか。研究の第一人者に聞いた (4ページ目)

  • 吉田洋一郎●取材・文 text by Yoshida Hiroichiro
  • photo by Getty Images

「ANAインスピレーションで勝利したタイのパティ・タバタナキットは、スイング中の両肩の可動域が大きく、ダウンスイングでクラブに最大限の力を伝えることができるので、男子ツアー選手並みのヘッドスピードを出すことができます。

 若手選手には、自分のスピードの限界を探りながらヘッドスピードを上げ、ボールをコントロールすることと両立するスイングを追求してほしいと思います。おそらく、渋野さんは2019年のスイングに違和感があったのだろうと思いますが、私は2019年のスイングのほうに可能性を感じます」

 LPGAツアーにはパティ・タバタナキットのように、平均280ヤード以上の飛距離を出す選手も出てきており、飛距離が出ることは勝利するうえで大事な要素となっている。だが、渋野が新たに1プレーンのスイングモデルを採用したということは、飛距離よりもコントロールを重視するプレースタイルを選択した、ということだろう。

 渋野のスイング改造は間違っているという指摘もあるが、マッケンジー教授が語るように、現在取り組んでいるスイングモデル自体に問題はない。スイング理論やスイングモデルは、世の中に数多く存在するので、自分の目指すゴルフにいかにスイングをマッチさせるかが大事なことになる。

 いずれにせよ、スイング改造の完成には、プロでも少なくとも半年以上の時間が必要だ。そして、現在取り組んでいるスイングが定着した時、渋野はスイング改造の是非ではなく、選択したスイングモデルの是非が問われることになるだろう。

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