もはや黄金、プラチナの「谷間」ではない。稲見萌寧が堂々ツアー3勝目 (2ページ目)

  • 柳川悠二●取材・文 text by Yanagawa Yuji
  • photo by Getty Image

 座右の銘は「忍耐」。ゴルフを志すきっかけとなった祖父の昭さんが、2018年に69歳で亡くなる直前、プロゴルファーとしてQTを受験中だった孫に贈った言葉だという。

「お祖父ちゃんとは、小さな頃から一緒に回って教わっていました。ゴルフだけでなく、すべてにおいて『つらいことも我慢して取り組め』ということだと思います」

 優勝を争ったのは、同じく最終組の永井花奈。2歳上の彼女とは、今大会前の練習ラウンドもともにした親しい間柄だ。

 稲見はその後、14番でもボギーを喫し、12番でバーディーを奪った永井と通算6アンダーで並んだ。両者はそのままスコアをキープ。最終18番でもともにパーをセーブして、勝敗の行方はプレーオフへと持ち込まれた。

 緊迫の展開ながら、2人は会話を交わしながら並んでフェアウェーを歩くシーンも見られた。

「(永井とは)同じ東京出身だし、仲よくさせてもらっています。プレーオフ中も、『練習ラウンドで回ったふたりが、まさかプレーオフで戦うとは思わなかったですよね』みたいな、たわいもない会話をしていました」

 軍配は、そう語る稲見に挙がった。プレーオフ3ホール目、いずれもグリーンをとらえ切れず、永井がボギーを喫し、稲見がパーをセーブして勝利を決めた。

ツアー3勝目を挙げた稲見萌寧。優勝スピーチでは思わず涙したツアー3勝目を挙げた稲見萌寧。優勝スピーチでは思わず涙した

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