やっぱりすごいぞ渋野日向子。疲弊の中で好成績も今後に懸念はある (3ページ目)
「今までとはまったく違う環境のなかで、しかもこれまで以上にプレッシャーがかかってくるなかで、その苦難な状況に渋野が対処できるかどうか。そうしたなかでの自分をどうやって受け止めて、それに慣れて順応できるかどうか、という問題がある。どこかしらのメディアで岡本綾子プロが、『まだまだ先は長い......』とコメントしていたけど、まさに渋野がそう思えるかどうか。
全英女子オープンでは、本当に純粋無垢で、要するに『攻めて、どこまでいけるのかやってみよう』というチャレンジャーの気持ちで戦えた。だから、パッティングにしても、何にしても、無垢な状態でプレーすることができた。でも、これからは背負うものがとてつもなく大きくなってくるので、それをどうやって、自分の中で消化していくのか。そこは、大切なポイントとなる。
たとえば、これからは自分のキャラを出しにくくなってくると思う。プレーの合間に何か食べることにも注目が集まって、食べにくくなって、本当は食べたいのに、隠れて食べたりしなければいけなくなるかもしれない。ああいうのは、おおよそ緊張の裏返しで、渋野にとってはあれが気持ちを切り替える手段のひとつだったわけで。でも、それができなくなったら、気持ちの切り替えもうまくいかなくなって、逆にストレスになったりする可能性もある。そういうことにも慣れて、克服できるのか、そこが非常に重要になる。
マスターズを勝った選手がその後、ぜんぜん勝てなくなってしまうことがある。メジャーに勝ったあとというのは、そうやって本来の自分のゴルフができるようになるまで、ものすごく時間がかかるものなのだ。
ずば抜けた人間、たとえばタイガー・ウッズなどは、ジュニア時代から注目されてきて、いわゆる周囲の騒ぎとか、突然の変化にも慣れている。というか、そういう"自分である"という認識がずっとあるからこそ、それによってどんな状況にも自ら処理して対応することができた。
しかし、渋野の場合はまさしく"シンデレラ"だからね。これからが本当に大変だと思う。
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