【木村和久連載】ゴルフ会員権、高額銘柄と激安銘柄しか動かない理由 (4ページ目)

  • 木村和久●文 text by Kimura Kazuhisa
  • 服部元信●イラスト illustration by Hattori Motonobu

 しかも、年会費の1億円が入ってくる。売り上げが2億円でも、年会費があれば、それでしのげる。そんな感じで、今のゴルフ場はどこも運営しています。

 話を戻しましょう。年会費が上がると、どんなことが起きるのか?

 スリーピングメンバー、すなわち、とりあえず会員権を持っているだけのメンバーが「ならば売ってしまおう」と処分します。処分と言っても、紙くずみたいなものですから、会員権の預託金が全額戻ってくることは稀(まれ)です。当然ながら、先に払った会員権の預託金は消えます。それでも、毎年さらに5万円取られるよりマシ、というわけです。

 こうして、メンバーの多い大衆コースはごっそり売りが出ますが、10万円ほどの投資って、女性が英会話学校やエステなどに通うのと同じようなものです。それぐらいなら「道楽してもいいんじゃないか」、むしろ「10万円払ったからこそ、頻繁に通うんだ」と、みなさん思うみたいですね。

 その結果、大衆コースの会員権売買は盛んになるわけです。

 翻(ひるがえ)って、中堅銘柄だと、結構な預託金も払っているので、なかなか手放せない人が多いみたいです。それに、たとえ売りに出されても、さすがに数百万円も道楽にはつぎ込めません。奥さんや彼女に向かって「おまえのエステ代と一緒だよ」とも言えませんしね......。

木村和久(きむら・かずひさ)
1959年6月19日生まれ。宮城県出身。株式をはじめ、恋愛や遊びなど、トレンドを読み解くコラムニストとして活躍。ゴルフ歴も長く、『週刊パーゴルフ』『月刊ゴルフダイジェスト』などの専門誌で連載を持つ。

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