下部ツアーにも出られない。どん底にいる堀奈津佳は今、何を思うのか (4ページ目)

  • 金明昱●取材・文 text by Kim Myung-Wook
  • photo by Getty Images

"どん底"とは、まさにこうした状況を言うのだろう。そんな現状にある選手に話を聞くのは、さすがに容易ではない。それでも、堀がどんな気持ちでシーズンを迎えているのか、ずっと気になっていた。そこで意を決して直撃したわけだが、冒頭でも記したとおり、こちらが面食らってしまうほど彼女は明るかった。

 今は、かなりつらい時期にあるのではないか? と聞いても、

「ぜんぜん、つらくないですよ!(笑)」

 そう言って、彼女は笑った。

「つらくないというか、自分の理想がある中で、自分の思った球が打てていないので『えぇ~......、打てないぞ......』っていう気持ちはあります。難しいなとか、困ったなという感覚は常にあります。だからといって、つらいとは思わないです」

 そう語ると、今も「なかなかショットの感覚が戻らない」と、堀は正直に話してくれた。そのため、いいときと悪いときの波があるのだという。

 調子を落としてからこれまで、堀はプレー中にミスすると、試合中であっても「スイングをこう降ろして練習したほうがいいかも」とか「もっとこういうスイングにしてみたらどうだろうか」とか、ショットの悪い部分にばかり気をとられていたという。目の前の1打に向かう集中力を欠けば、プレーが安定するはずがない。

 堀は、完全に悪循環に陥っていた。もちろん、試合後にミスを補うための練習は必要だが、あまりにも考え込んでしまって、ミスの原因が何なのかを自分でつかむ余裕まではなかった。

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