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ブラジル代表がサッカー日本代表との再戦を重要視する理由 目指すのは単なる世代交代ではない (3ページ目)

  • リカルド・セティオン●文 text by Ricardo Setyon
  • 利根川晶子●翻訳 translation by Akiko Tonegawa

【すべてのポジションが未確定】

 そのためアンチェロッティのスタッフはヨーロッパ、さらにはアジアまで足を運び、各国リーグの試合を視察している。最終的にメンバーを絞り込む前に、できる限り多くの選手を見極めようとしている。そのため今のセレソンはすべてが未確定だ。その傾向は各ポジションの顔ぶれにも表れている。

 たとえばGK。ワールドカップでメンバーだった選手は今回、ひとりも招集されていない。日本戦に臨むのはベント、ルーカス・ペリ、ペドロ・モリスコの3人だ。なかでも22歳のモリスコは、現在のブラジル代表を象徴する存在と言えるだろう。コリチーバに所属し、海外でのプレー経験はない。ブラジル国内でさえ、まだほとんど知られていない選手だ。

 GKだけではない。守備陣の中心は誰になるのか。中盤を誰に任せるのか。攻撃陣の軸となるのは誰なのか。絶対的な9番も、ブラジルが誇ってきた創造性豊かな10番も、まだ定まっていない。すべてが未確定だ。アンチェロッティは、こうした若い選手たちを実際に試し、その可能性を見極めようとしている。

 ただし、優れた選手を集めることと、強いチームを作ることは同じではない。現在のブラジル代表に足りないのは才能ではない。ヴィニシウス・ジュニオール、ラフィーニャ、ガブリエウ・マガリャンイスをはじめ、欧州のトップクラブで活躍する選手は少なくない。エンドリッキやエステヴァンといった将来有望な若手もいる。しかし、個々の選手の能力がセレソンの強さにつながっているかといえば、そうではない。

 何より深刻なのは、チームを率いるリーダーの不在だ。マルキーニョスはキャプテンを務めることができるだろう。しかし、試合の流れを変え、周囲の選手を引っ張り、決定的な場面で責任を引き受ける存在とまでは言えない。

 チーム作りと並んで、アンチェロッティにはもうひとつ大きな課題がある。ブラジル代表とファンの間に生まれた距離だ。ブラジルのメディアは、このイタリア人監督に対して容赦がない。そしてサポーターの代表に対する関心も著しく低下している。ワールドカップでの敗北は、それでもなおセレソンを信じていた多くのファンを失望させた。しかも、今のブラジルには、人々が熱狂できるスターがひとりもいない。

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