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「ワールドカップ売却計画」は断念も残る火種 FIFAインファンティーノ会長体制に何が起きているのか (4ページ目)

  • リカルド・セティオン●文 text by Ricardo Setyon
  • 利根川晶子●翻訳 translation by Akiko Tonegawa

【高まるFIFAへの不満】

 FIFAの組織の内側でも、静かな異変が起きていた。長年インファンティーノを支えてきた側近たちが、次々と距離を置き始めたのである。アメリカサッカー連盟の元会長で、インファンティーノの上級顧問を務めてきたカルロス・コルデイロは辞任を表明した。彼は「FIFAはすでに莫大な資産を持ち、負債もない。世界サッカー最大の財産を売却する理由は存在しない」と語った。

 COO(最高執行責任者)のケビン・ラムールは、「職員たちはあざむかれた」「この計画は、たったひとりの人間によって進められた」「たとえ職を失っても構わない。少なくとも私は安心して眠ることができる」と発言。FIFA本部の空気が変わり始めたことを象徴する出来事だった。

 7月31日、インファンティーノは声明を発表。計画を断念する意向を明かした。

 実はこの問題以外でも、FIFAへの不満は高まっている。選手たちを代表する世界プロ選手会(FIFPRO)は、過密日程が選手の健康を脅かしているとして警鐘を鳴らしている。クラブチームは、昨年のクラブワールドカップの際に約束された分配金が支払われないことに不満を募らせる。それぞれの問題は別々に見えるが、根底にある問いは同じだった。

「FIFAは誰のために存在しているのか」

 思えば10年前、インファンティーノが選ばれた理由も、その問いへの答えだったはずだ。腐敗したFIFAを変える。透明性を取り戻す。サッカーをサッカーに返す。世界はその約束を信じた。だからこそ今、失望もまた大きい。今回のFFE構想に対する反発は、単なる新会社への反対ではない。FIFAの現在のあり方に対する「ノー」だったのである。

 2027年3月、インファンティーノは再び会長選に臨むと見られている。彼はこの危機を乗り越え、再び支持を集めるのか。それともサッカー界は新たな時代を選ぶのか。その答えはまだ誰にもわからない。

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