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【ワールドカップ】スペインに優勝をもたらした「誰が出ても同じサッカー」 アルゼンチンの敗因は? (3ページ目)

  • 杉山茂樹●文 text by Shigeki Sugiyama

 それはメッシという存在と深く関わっていた。メッシがいるから守備的になったと言っても言い過ぎではない。メッシは最後までピッチに立ち、ラウタロの出番は最後までなかった。

 今大会のメッシはヨルダン戦を除く7試合に先発。初戦のアルジェリア戦を除く6試合でフル出場を果たしている。スカローニは39歳のメッシと心中する作戦を取った。その弊害には目もくれずに、だ。それはカーボベルデ、エジプト、スイスに大苦戦した理由と深い関係がある。一方で、先述したように準決勝のイングランド戦の土壇場で決勝アシストを決めている。

 だが、スペインには通じなかった。ボールを回される原因になった。

 メッシという歳を取ったスーパースターとどう向き合うか。メッシが35歳で迎えた前回2022年大会はうまくいった。決勝でフランスに延長PK戦の末、勝利を飾っている。今回も危ない橋を渡りながらも、なんとかうまくやりくりし、決勝の延長前半までしのぐことができた。だがサッカーの神様は、そこまでを限界点とした。

 メッシのいない次回のアルゼンチンが心配になる。何と言っても負け方が悪かった。非今日的で、いいところがなかった。反則も多く、美しい敗者とは言えなかった。

 アルゼンチンの順当負け。スペインから見れば順当勝ちだ。振り返れば今大会は順当の連続だった。ベスト4も順当。優勝チームも大会前にブックメーカー各社が一番人気に推したスペインだった。本大会出場チームが32から48に増えたことで、大会のなかの格差が広がった。次回、64チームで争うことになれば、その傾向はさらに強まるだろう。

 一方、サッカーの流れはこのスペインの優勝でいっそう攻撃的な方向で進むだろう。高い位置から網を掛けるサッカーであり、三角形をピッチの各所に作りながら、効率的にパスをつないでいくサッカーだ。カテナチオに代表される後ろで守るサッカー、マイボールを簡単に放棄するカウンター系のサッカーは、時代遅れになる。日本はどうする。
 

著者プロフィール

  • 杉山茂樹

    杉山茂樹 (すぎやましげき)

    スポーツライター。静岡県出身。得意分野はサッカーでW杯取材は2022年カタール大会で11回連続。五輪も夏冬併せ9度取材。著書に『ドーハ以後』(文藝春秋)、『4-2-3-1』『バルサ対マンU』(光文社)、『3-4-3』(集英社)、『日本サッカー偏差値52』(じっぴコンパクト新書)、『「負け」に向き合う勇気』(星海社新書)、『監督図鑑』(廣済堂出版)、『36.4%のゴールはサイドから生まれる』(実業之日本社)など多数。

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