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【ワールドカップ】スペインは今日も粛々とパスをつなぐ 自分たちが信じる「勝つ確率の高いスタイル」 (3ページ目)

  • 西部謙司●文 text by Kenji Nishibe

【勝つ確率が高いスタイル】

 スペインは地方色が豊かな国だ。言語も違うし風習も違う。代表チームもある時期は運動量をベースにしたバスク風、ある時期はレアル・マドリード中心の速攻型など、プレースタイルが定まらなかった。

 そもそもファンも代表よりクラブチームへの関心が高く、レアル・マドリードとバルセロナは欧州トップクラスだったにもかかわらず、代表となるとそこまでの地位にはなれていなかった。確固たるアイデンティティもなかった。

 そこへオランダの思想が入ってきて、まずバルセロナで成功を収める。やがてそれが広まり、バルセロナの選手たちを軸に代表が編成され、バルセロナ化された。もともと選手の技術は高かったがドイツやイタリアのようなパワーはなく、それが弱点だった。だが、長所を最大限に拡張してくれる戦術と出会ったことで吸収が進み、すっかり自分たちのものにすることができた。ある意味、何もなかったからそのまま受け入れて消化できたのだと思う。

 自分たちのサッカーを信じ、粛々と作業をこなすようにパスをつなぐ。2008年以来、多少の変化はあっても基本的にブレはない。2010年のW杯初優勝は、ノックアウトステージでは1-0の連続だった。今回のスペインも、前回カタール大会で日本の田中碧にゴールされてからW杯での失点がない。今のところ609分間無失点はW杯記録だそうだ。クライフが意図したものとは違うかもしれないが、ボール保持による無失点試合を重ねている。

 スペインの選手たちは、パスワークの作法を子どものころから身体化させていて、半自動的にパスを回す。GKも含めた11人が戦術に同化したパスワーク。このスタイルが絶対的とは言えないが、勝つ確率が高いのはすでに証明しているとおりだ。

著者プロフィール

  • 西部謙司

    西部謙司 (にしべ・けんじ)

    1962年、東京生まれ。サッカー専門誌「ストライカー」の編集記者を経て2002年からフリーランスに。「戦術リストランテ」「Jリーグ新戦術レポート」などシリーズ化している著作のほか、「サッカー 止める蹴る解剖図鑑」(風間八宏著)などの構成も手掛ける。ジェフユナイテッド千葉を追った「犬の生活」、「Jリーグ戦術ラボ」のWEB連載を継続中。

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