【ワールドカップ】すでにロナウドのチームではないポルトガル だが技巧派集団の完成図はまだ見えない (3ページ目)
【魅力と長所を今度こそ強さに結びつけるか】
コロンビア戦では後半からルベン・ネベスに代わってジョアン・ネベスが登場し、保持力が増している。ジョアン・ネベスはPSGでのヴィティーニャの相棒。「もうひとりのヴィティーニャ」だ。正反対の個性の組み合わせによる補完効果は知られているが、このふたりは同じタイプで互いに影武者を演じてバランスをとる。
問題はその先。ヴィティーニャを軸とする後方と、前方の接続点だ。
本来ならトップ下のブルーノ・フェルナンデスがその役回りなのだが、ブルーノは守備でほぼMFのラインに入っていて、そのため攻撃では4-3-3のインサイドハーフ的な振る舞いになる。そのため、接続点は左ウイングのジョアン・フェリックスになっている。
最前線に居残るロナウドと、後方ビルドアップ隊をつなぐ。ジョアン・フェリックスは資質的には合っている。だが、PSGでこの役割を果たしているのはウスマン・デンベレなのだ。デンベレは守れるが、ジョアン・フェリックスは守れない。コロンビア戦ではジョアン・フェリックスが戻らないので、コロンビアは右サイドの数的優位から何度もチャンスを作っていた。
そもそもPSGではセンターフォワード(CF)のデンベレも守備時に相手をマークする完全マンツーマンだが、ロナウドにそれは無理。加えてジョアン・フェリックスと守れない選手がふたりいる時点で、ある程度は相手にボールを握られてしまう。
ブルーノ、ジョアン・ネベス、ヴィティーニャは献身的な守備ができるが、パワーがないので受け身の守備は強くない。接続点の選手とCFが守らないので守備が後退し、圧倒的な押し込みに至らない。圧倒的に保持してこそのヴィティーニャ・システムなのに、中途半端なものになっている。
黄金世代をしのぐパスワークの完成図がまだ見えていない。そもそも黄金世代は結果を出せていないから、目指すべきはさらにその上である。
コロンビア戦では70分にジョアン・フェリックスとヴィティーニャを引っ込め、ラファエル・レオンと守備型MFサムエル・コスタを投入。レオンの突破力に期待するカウンター型に変えた。
ヴィティーニャ・システムを諦めることはないと思うが、重要なピースが欠けている。カギを握るのはコロンビア戦でプレーしなかったベルナルド・シウバになりそうだが、ラウンド32で対戦するのは難敵クロアチアだ。
大いなる可能性は開花するのか、それとも黄金世代の二の舞に終わってしまうのか。魅力と長所を今度こそ強さに結びつけることはできるだろうか。
著者プロフィール
西部謙司 (にしべ・けんじ)
1962年、東京生まれ。サッカー専門誌「ストライカー」の編集記者を経て2002年からフリーランスに。「戦術リストランテ」「Jリーグ新戦術レポート」などシリーズ化している著作のほか、「サッカー 止める蹴る解剖図鑑」(風間八宏著)などの構成も手掛ける。ジェフユナイテッド千葉を追った「犬の生活」、「Jリーグ戦術ラボ」のWEB連載を継続中。
【写真&選手紹介】世界トップクラスの選手たち ワールドサッカー「新」スター名鑑
3 / 3






















































