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【F1】ホンダは救済策「ADUO」で復活できるか 浅木泰昭が抱く懸念「ガタガタの状態が続くかも......」

  • 川原田 剛●取材・文 text by Tsuyoshi Kawarada

元ホンダ・浅木泰昭 連載
「F1解説・アサキの視点」第13回 前編

 第5戦カナダGP終了後、今年から導入された新システムである「ADUO」(追加開発アップグレードの機会)の初の評価が行なわれた。

 その結果、もっとも優れたエンジンに評価されたのは開幕から連勝を重ねていたメルセデスではなく、フォードと組んで今シーズン初めて自社製のパワーユニット(PU)を投入して戦うことになったレッドブルだった。

 国際自動車連盟(FIA)がPUのエンジン性能を測定し、一番優れたエンジンよりも性能が2%以上劣っているメーカーに対しては、その性能差に応じてより多くの開発予算とテストの時間が与えられ、追加のアップデートが認められることになっている。

 メルセデスは基準エンジンとなるレッドブルに対して性能が2〜4%下回るグループ、フェラーリ、ホンダ、アウディは性能の差が4%以上のグループに入ることになったようだ。

 フェラーリは第8戦オーストリアGP(6月28日決勝)でさっそくアップグレードしたPUを投入するというが、はたしてADUOによって勢力図に変化はあるのか。そして、ホンダの復活はあるのか。元ホンダ技術者でF1解説者の浅木泰昭氏に話を聞いた。

ADUOのポイントを語ったF1解説者の浅木泰昭氏 photo by Ryo HiguchiADUOのポイントを語ったF1解説者の浅木泰昭氏 photo by Ryo Higuchiこの記事に関連する写真を見る

【ホンダは危機的な状況にある】

 第1回目のADUOでは、レッドブルがもっとも優れている内燃機関(エンジン)に認定されました。チャンピオンシップをリードするメルセデスはレッドブルよりも性能が2〜4%下回っていると判断され、追加の開発が許可されることになったようです。

 ADUOの評価基準は最大馬力ではなく、FIAが各PUのデータをもとにエンジンの性能指数を弾き出し、独自の手法で格付けを行なっていると言われています。どういう計算式で性能指数を出し、実際にどういう結果だったのかが明らかにされていませんので、外部の人間にはまったくわかりません。

 レッドブルが基準のエンジンになったのは意外でしたが、メルセデスは当然、何かたくらんでいるはず。彼らはレギュレーションを徹底的に調べて、自分が有利になるように仕組むことを当然の業務ととらえており、それがわからない人間は負けても仕方がないと考えています。ホンダもそういう部署を設ける必要があるのかもしれません。

 ADUOに関しては、F1では本来ないほうがいいと思いますし、頻繁に使用されるべきものではない、というのが私の考えです。

 あまりにも他メーカーのPUとの性能差があって、株主や投資家などから批判されて撤退論がささやかれるようなメーカーが出てきた場合は、F1につなぎとめるために追加で開発する機会を与えるのは仕方がないと思います。ADUOによって、ようやくレースの形になる。そういう使い方だったら、すべてのメーカーが納得すると思います。

 ADUOでは基準となるベストエンジンに対して、性能差が「2%未満」、「2〜4%」、「4〜6%」「6〜8%」「8〜10%」「10%以上」にグループ分けされていますが、4%以上の遅れをとっているフェラーリ、アウディ、ホンダの3メーカーがどこのグループに分類されたのかは明らかにされていません。

 でもFIAが当初は、性能が劣ったメーカーに対する優遇措置の枠を「8〜10%」だったところを急きょ、「10%以上」まで拡大したのは、ホンダが危機的な状況にあると判断したからだと思います。

 当初予定していた8%以上の予算と開発時間を与えなければ、今シーズン中にまともにレースできるところまでリカバリーできないだろうし、最悪は撤退の可能性もある......とFIAは判断した可能性は高い。それをホンダもあえて否定せずに、もらえるものはもらおうと思っているのかもしれません。

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著者プロフィール

  • 川原田剛

    川原田剛 (かわらだ・つよし)

    1991年からF1専門誌で編集者として働き始め、その後フリーランスのライターとして独立。一般誌やスポーツ専門誌にモータースポーツの記事を執筆。現在は『週刊プレイボーイ』で連載「堂本光一 コンマ1秒の恍惚」を担当。スポーツ総合雑誌『webスポルティーバ』をはじめ、さまざまな媒体でスポーツやエンターテイメントの世界で活躍する人物のインタビュー記事を手がけている。

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