【ワールドカップ】グループリーグのMVPを現地記者が独自選定 メッシ、ロナウドの「奇跡」が見逃せない (2ページ目)
その日、メッシは軽々と3得点を決め、続くオーストリア戦も2得点。英雄の面目躍如だった。しかし、彼はいわゆるストライカーではない。"ボールを蹴る、止める"ではなく、"ボールを操る"というほうが近く、わずかなタイミング、コース、回転などを調整し、思うように動かせるのだ。
メッシはフットボールに愛された存在で、それを自らが繰り出すプレーで返すことができる。人生をかけて、その戦いを続けてきた。年齢に適応してはいるが、本質は変わらない。
まだ16歳だったメッシが、バルサのセカンドチームでプレーしていた時代、筆者はその姿を現場で目撃している。もとは1部でプレーしていたベテランDFが若造に洗礼を与えようと荒っぽいタックルを浴びせると、少年はあえなく横転した。その顔色が一瞬にして変わった。次にボールを受けると、あえてそのDFに挑みかかって、今度は緩急で置き去りにした。ベテランDFはいきり立って仕掛けてきたが、今度はそれを手玉に取ってかわし、力強くゴールを決めたのだ。
あれからメッシは数えきれない修羅場を経て、"メッシという時代"を作った。技術的、体力的に才能があったのは間違いないが、当時から変わらぬ旺盛な負けん気が、今も燃料だろう。
6月27日、グループステージ最後のヨルダン戦。途中出場のメッシは自らのドリブルでFKを奪い、左足でこともなげにゴールへ流し込み、指をかざして天に感謝した。しかし、彼自身がスタジアムの大勢のアルゼンチン人たちの愛と祈りを一身に集め、その姿はほとんど神だった。
グループステージのMVPは、メッシしかいない。
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