久保建英はワールドカップで活躍できるのか? スペイン人記者が指摘するパフォーマンス低下と来季移籍話 (3ページ目)
【移籍の難しさ】
こうした状況から今夏の移籍市場は複雑になるだろう。久保の契約解除金は6000万ユーロ(約111億円)に設定されており、契約は2029年まで残るが、2025年アジアカップ以降のパフォーマンスは、ラ・レアルが契約解除金を満額請求するほど、もしくは他のクラブが莫大な移籍金を提示して獲得に動くほど十分なものではない。
さらにラ・レアルは久保を売却した場合、キャピタルゲイン(購入価格と売却価格の差による収益)の50%をレアル・マドリードに払う必要がある。この条項があるため、ラ・レアルは2022年夏にわずか650万ユーロ(約12億250万円)の移籍金で、久保をレアル・マドリードから獲得できたのだ。
つまり、久保を欲するクラブが契約解除金を支払った場合、ラ・レアルの手元に残るのは約3300万ユーロ(約61億500万円)となる。一方、現在の久保の市場価値により近い3000万ユーロ(約55億5000万円)のオファーを受け入れた場合、ラ・レアルが手にできるのはわずか1800万ユーロ(約33億3000万円)程度だ。
来季の獲得候補はすでに名前が挙がり始めており、トゥールーズのスピードを武器とする21歳のブラジル人ウイングのエメルソンが浮上している。ゲデスに似たタイプで、マタラッツォ監督が求める選手像に合致している。
こうした状況から今後の展開を予想するのは非常に難しい。ひとつのサイクルが終わりを迎え、久保はワールドカップ後にラ・レアルでのキャリアに幕を下ろす可能性もあるだろう。久保はピッチ内外で大きなインパクトを与えてきた選手であり、自身の意向や注目度、ワールドカップでのパフォーマンスなど、あらゆる要素が考慮されることになる。
残留を望むのか、それとも移籍金を出してくれるクラブが現れた場合に退団を検討するのか......。さまざまな事態が想定できるが、何よりもまずはワールドカップに集中しなければならない。
髙橋智行●翻訳(translation by Tomoyuki Takahashi)
著者プロフィール
高橋智行 (たかはし・ともゆき)
茨城県出身。大学卒業後、映像関連の仕事を経て2006年にスペインへ渡り、サッカーに関する記事執筆や翻訳、スポーツ紙通信員など、リーガ・エスパニョーラを中心としたメディアの仕事に携わっている。
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