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【欧州サッカー】ライアン・ギグスのドリブルが別格な理由 松井大輔は「100パーセントのスプリント」に驚いた (2ページ目)

  • 中山 淳●取材・文 text by Nakayama Atsushi

【上半身を動かして相手を揺さぶる】

 松井氏の分析は、さらに続く。

「それと、スピードに乗った状態のなか、足のつま先部分を細かく使い分けながら正面でドリブルするので、相手はギグスがどちらの方向に抜こうとしているのか判断するのが難しい。

 しかも、ものすごいスピードで向かってくるので、どちらに体の向きを作ればいいのか、あるいはどのタイミングで足を出せばいいのかわからない。もしイチかバチかで食いついても、その瞬間に逆方向に抜き去られてしまいます。

 スピードに乗った時のドリブルは、基本的にスピードを落とさずに右か左に抜いていくのですが、感覚的には相手の間合いに入らないようにして、自分で道を作っていく。つまり、隙間を縫っていくようなイメージでドリブルします。

 加えてギグスは、ボールに触れていない時にステップや上半身を動かして相手を揺さぶり、相手の重心を傾けさせた瞬間、逆方向に抜き去るテクニックも際立っています。ドリブルのスピードをほとんど落とすことなく、あれだけ繊細なフェイントを使える選手はなかなかいません。

 もちろん、前回紹介したブラッドリー・バルコラのように、前方にスペースがある時はボールを大きく出して、相手と競争して足の速さだけで抜き去ることもできます。前方にスペースがなくても、広大なスペースがあっても、どちらの状況でもドリブル突破という自分の武器を使えるので、相手にとっては止めるのが本当に難しい選手だったと思いますね」

 松井氏が指摘するように、当時のギグスのドリブルスピードは別格だ。

 1990年代のサッカーは、現在と比べるとピッチ上にもっとスペースがあった時代だったとはいえ、ギグスのように走るスピードがあり、ドリブルスピードを落とさないだけのハイレベルなボールテクニックを兼ね備えていた選手は、サッカーの長い歴史のなかでも限られている。

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