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鈴木彩艶の才能にチェルシー、ナポリも興味津々 日本人GK初のプレミアリーガー誕生も遠くない (2ページ目)

  • 粕谷秀樹●取材・文 text by Kasuya Hideki

【鈴木のライバルとなるGKは?】

 新シーズンの正GK候補と考えられているのはペトロヴィッチだ。2024-25シーズンはローン先のストラスブールで活躍し、晴れてチェルシーに復帰する。

 一昨年の夏、マンチェスター・ユナイテッドとの争奪戦を制し、MLSのニューイングランド・レヴォリューションから獲得。公式戦31試合出場のデータが証明するように、レギュラーの座をほぼ掌中に収めていた。

 ところが、昨年夏のヨルゲンセン加入に伴い降格。出場機会を求めてストラスブールにローン移籍した。10回のクリーンシートを記録するなど、自らのレベルを証明している。

 鈴木のチェルシー加入を大前提とするなら、ペトロヴィッチとの定位置争いになる。鈴木のアドバンテージとなるのは、セリエAとリーグ・アンの違いだろう。

 カルチョ・イタリアーノは守備のディテールにこだわる。カテナチオと呼ばれた当時の守備偏重ではないが、相手の攻撃を封じる技術に関しては、全メディアが一家言を持っている。一方、フランスは全体的に守備への関心がやや薄い。

 さらに、イタリア人のマレスカ監督が「新GKの選択肢をセリエAに限定する」との一部情報も鈴木には追い風だ。チェルシーのスタイルを踏まえると、ローマのミレ・スヴィラル、アタランタのマルコ・カルネセッキが有力候補だ。いずれ劣らぬ名手であり、その中に鈴木が含まれているのだとしたら、なかなかの高評価である。

 2003年7月、ロマン・アブラモヴィッチ前オーナーが買収したあと、チェルシーは世界各国からスターを買い漁った。しかし、日本人どころかアジア人は、ひとりもいない。

 プレミアリーグ全体を見渡しても、アジア人GKはレアケースだ。2018-19シーズン、カーディフでプレーしたフィリピン代表ニール・エザリッジが唯一の例だ。全試合に先発フル出場し、10回を記録したクリーンシートは7位タイの好成績である。

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