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サッカー日本代表の歩むべき道も示した欧州頂上決戦 パリ・サンジェルマンの「攻守一体」とは (2ページ目)

  • 小宮良之●文 text by Komiya Yoshiyuki

【インテルの3バックは「論理的」】

 翻って、森保ジャパンも同じく「いい守りがいい攻撃をつくる」は基本だろう。攻守にわたって献身的な選手も多く、トランジションはひとつのカギになる。さらに俊敏で、テクニカルな選手が多い。

 個人的に、決勝戦のMVPはポルトガル代表ヴィティーニャと考えるが、彼のように戦術的、技術的に出色のMFは日本に少なくない。守田英正などは近いタイプだろう。ボールプレーヤーとして、自ら起点になれるし、どう運び、止めて、託すか。それを心得ている。

 そして三笘薫はプレミアリーグ、中村敬斗もフランスリーグで二桁得点を記録し、クヴァラツヘリアやバルコラと遜色のない左アタッカーと言える。敵の守備陣をドリブルやワンツーで崩せる一方、自身の得点力も備え、なおかつ泥臭い守備もできる。

 にもかかわらず、森保ジャパンはふたりを左ウイングバックで起用している。クヴァラツヘリアやバルコラをウイングバックで使うだろうか。悪い冗談のような話だ。

 これは、ブンデスリーガで二桁得点した堂安律にも当てはまる。左利きでカットインからの得点、もしくは崩しが見込める貴重なサイドアタッカーを、どういう了見で右ウイングバックに起用しているのか。まったく意味がわからない。

 一方、シモーネ・インザーギ監督が率いるインテルは、3-5―2のウイングバックを使うシステムでひとつの成功を収めているが、彼らの場合は論理的である。

 たとえば右ウイングバックドのデンゼル・ダンフリースは屈強で、走力も高さもある。ロングボールでは攻守に貴重なカードだし、身体的な強さで拠点を守りながら、攻撃でボールを運ぶ馬力を感じさせ、右足でウイングのようなクロスを送る。左サイドのフェデリコ・ディマルコも小柄ながら左利きでパワーがあり、最左翼の攻守を任せられる。

 彼らのクロスを2トップが合わせるのは、必勝の攻撃パターンと言えるだろう。

 一方、三笘、堂安という日本の左右のウイングバックは利き足がそれぞれ逆。クロスすら打ち込めない。互角の相手には押し込まれ、守りに回らざるを得ず、宝の持ち腐れになるのがオチだろう。

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