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田中碧はプレミアリーグに昇格 イングランド2部で奮闘する日本人選手の現在地 (3ページ目)

  • 粕谷秀樹●取材・文 text by Kasuya Hideki

【外国人が働きやすくなった】

 エバートンのGKジョーダン・ピックフォードは「カーライル(4部)やバートン(3部)での経験は宝物だ」と語り、6月に行なわれるワールドカップ予選と親善試合でイングランド代表に復帰したイヴァン・トニー(アル・アハリ)もチャンピオンシップで苦楽を味わっている。イングランドの下部リーグを軽んじてはならない。

 競り合いやタックルはプレミアリーグより荒々しく、アウェーは基本的にバス移動。実に過酷な条件だ。それでも日本人が健闘できるのは、テクニック、敏捷性、スピード、規律遵守などに優れているからに違いない。

 さらに、英国のEU離脱に伴い労働ビザが緩和され、日本人に限らず外国人が働きやすくなり、ヨーロッパの指導者の招聘がスムーズになった事実も見逃せない。ほんの数年前まで、チャンピオンシップの監督は英国系が90%以上を占めていた。だが、今シーズンの開幕時点で7人。29.17%が外国籍である。

◆リーズ
 →ダニエル・ファルケ(ドイツ)
◆サンダーランド
 →レジス・ル・ブリ(フランス)
◆シェフィールド・ウェンズデイ
 →ダニー・レール(ドイツ)
◆ノリッジ・シティ
 →ヨハネス・ホフ・トールップ(デンマーク)
◆ハル・シティ
 →ティム・ヴァルター(ドイツ)
◆カーディフ・シティ
 →エロル・バラト(トルコ)
◆クィーンズ・パーク・レンジャーズ(QPR)
 →マルティ・シフエンテス(スペイン)

 今シーズンの最後まで職務をまっとうしたファルケ、ル・ブリ、レールの3人は、基本戦略としてポゼッションを用いていた。そういうチームのほうが、日本人は特性を生かしやすい。逆に、縦とスピードを必要以上に重視し、アスリート色を全面に押し出すような指揮官の場合、日本人ならではの個性を発揮するのは難しい。

 10ゴールを挙げたブラックバーンの大橋祐紀は残留確実で、QPRの斉藤光毅はロンメルSKのローンから完全移籍に切り替えられる見込みだ。36試合に出場した平河悠はコベントリーのプレミアリーグ昇格に向け、来シーズンも坂元とともに戦い続けるだろう。

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