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【プレミアリーグ】ベスト11選定で振り返る今季の名場面 三笘薫の「ベストゴール」も (3ページ目)

  • 山中忍●文 text by Yamanaka Shinobu

【三笘を超える数字を残したウイング】

 2ボランチの1枚には、ニューカッスルのサンドロ・トナーリを選んだ。いわゆる守備的MFではない。実際、相手ボール時には、左インサイドハーフのジョエリントンとポジションを入れ替わる。

 しかしながら、CL出場権を獲得する5位フィニッシュ。そして70年ぶりの主要タイトルを手にしたリーグカップ決勝リバプール戦では、中盤の底で試合をコントロールするイタリア人策士の支配力がものを言った。その影響力は、結果的にCL出場権を逃したアストン・ビラのユーリ・ティーレマンス、さらにはリバプールのアレクシス・マック・アリスターに勝るとも劣らない。

 もう1枚は、ニューカッスルを下した第37節で、アーセナルに決勝の1点をもたらしたデクラン・ライス。ダイレクトで決めた右足ミドルは、チームのCL出場を確定するゴールでもあった。優勝争いで貴重な対抗馬となったアーセナルは、「セットプレー王者」の異名を取るが、ライスは、CKやFKのキッカーとしても力を発揮した。

 強さとうまさが共存するプレーを目の当りにすれば、200億円台の移籍金を要したMFを「半額で獲れた!」と絶賛するアーセナル・ファンの歌声にも頷ける。オールラウンドなクオリティーの高さは、"最成長選手"に相応しいリバプールのライアン・フラーフェンベルフを凌いでいた。

 2列目左サイドには、サラーと重なる本来の持ち場から、ブライアン・ムベウモに回ってもらう。ブレントフォードは10位に終わったものの、最後までクラブ史上初の欧州進出への望みをつないだ。チーム得点王となる20ゴールに加え、8アシストも記録したウインガーがいればこそ、見ることのできた夢だった。

 心情的には左ウイングに選出したい三笘薫には、「ベストゴール賞」を贈りたい。直接関与の得点数はムベウモの半分に終わったが、第25節チェルシー戦で3点差快勝の口火をきる先制ゴールは、肩越しに届いたロングボールへのファーストタッチから、ここしかないというコースに打ったシュートまで、一連の4タッチすべてが最高水準だった。

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