【プレミアリーグ】ベスト11選定で振り返る今季の名場面 三笘薫の「ベストゴール」も (2ページ目)
【攻撃も魅力的だったディフェンダーたち】
リバプールからのもう1名はCBのフィルジル・ファン・ダイク。圧倒的な存在感は、28歳だった2019年、バロンドール賞の選考で、リオネル・メッシに次ぐ2番手となった当時を彷彿させた。優勝決定の前々週には、2位アーセナルがポイントを落とした第32節の終了間際に勝ち越しのヘディングを決めた。頼れる主将は、自軍が敗れても、自身の去就(再来年まで契約延長)に関する質問が飛ぶとわかっていても、必ずミックスゾーンで立ち止まってくれる、記者陣にとっても「頼れる男」だった。
CBの相棒には、エバートンのジェームズ・ターコウスキーを選びたい。守備能力で言えば、リーグ最少の34失点でシーズンを終えたアーセナルでコンビを組むウィリアム・サリバとガブリエウのほうが上だろう。また、ポゼッション重視のチームが増えるリーグにあって、速攻カウンターで一石を投じたボーンマスでは、20歳のCBディーン・ハイセンのパス能力も目を引いた。
だが、エモーショナルな一面もサッカーの魅力。文字どおり体を張るターコウスキーによる渾身の守りがなければ、エバートンは、132年来のホームだったグディソン・パークでの最終シーズンを、プレミアにも別れを告げる不安をともに過ごす羽目になっていたかもしれない。第30節、敵地でのリバプール戦の行きすぎたタックルは、退場を命じられるべきではあった。しかし、ホームでの第15節では、CFも顔負けのフィニッシュで土壇場の同点ゴール。グディソンでの最後のマージーサイドダービー(リバプールとのダービーマッチ)に、感動のドラマをもたらした。
右SBは、クリスタル・パレスのダニエル・ムニョスで決まりだろう。不安定だったチームにあって、一貫性のあるパフォーマンスを見せ続けた。ウイングバックが本職とも言えるだけに、攻撃参加はお手のもの。リーグ戦での4得点には、ホームでの第31節、ファンが激しく敵対視するブライトンから奪った決勝点が含まれる。守備面でもSBでは最多となるタックル数「123」を記録。シティを下したFAカップ決勝でも、攻守に上々の出来でパレス初の主要タイトル獲得に貢献した。
逆サイドには、フラムのアントニー・ロビンソン。左SBにして10アシストを記録し、マンチェスター・ユナイテッドのブルーノ・フェルナンデス、アーセナルのブカヨ・サカという、チャンスメイカーと並んでアシスト王4位にランクインしている。同じロンドン市内のチェルシーやアーセナルと同様、必要だと指摘され続けた一線級のCFがいれば、ランクアップも可能だったはずだ。
控え役として、マンチェスター・シティのヨシュコ・グバルディオルを挙げておこう。チームとしては、プレミア5連覇が見込まれたシーズンに、突然に訪れた主軸の負傷と過渡期の波に襲われて3位に終わった。だが、ペップ・グアルディオラ流の("偽")左SBとしてのグバルディオルは、チーム再建への希望を体現するひとりとなった。
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