中村敬斗のプレミアリーグ移籍の可能性は? 今季あと4ゴールでビッグクラブからのオファーも...
移籍市場に特化したデータサイト『transfermarkt』によると、中村敬斗の市場価格は1000万ポンド──およそ16億円だそうだ。
随分と安く見積られたものだ。少なくとも3000万ポンド──およそ48億円は必要だ。中村本人、エージェント、そして所属するスタッド・ランスは、決して安売りしてはならない。
なぜならこの日本人アタッカーは、いまやトレンドというべき「ウイング・ストライカー」になれる逸材だからだ。縦に鋭く突破し、カットインした際は右足で強烈な一撃。トップ、2列目でもプレーできる汎用性も、魅力のひとつである。
中村敬斗の活躍ぶりは目を見張るものがある photo by AFLOこの記事に関連する写真を見る アフリカ系の選手が数多く奮闘するフランス「リーグ・アン」の経験により、フィジカルもたくましくなった。強烈なショルダーチャージを嘲笑(あざわら)い、一気に加速してマーカーを無力化するケースも増えてきている。
ヨーロッパのクラブに籍を置く日本人選手が総じて肉体的に強くなっているのは、プレーの圧が高いリーグをこなしたからこそ身についたアドバンテージである。近い将来、中村も鋼の肉体を搭載するはずだ。
もちろん、現在でも十分な強さを有している。だが、いずれ訪れるに違いない「トップリーグ・チャレンジ」のためには、さらなるパワーアップが必要で、なおかつ余計な筋肉をつけてはならない。
睡眠、休養、バランスのいい食事、情報の取捨選択に努め、過度なウエイトトレーニングは避けるべきだ。極端な負荷をかけて作った筋肉は、思わぬ大ケガを招くリスクが非常に高い。競技は違うものの、メジャーリーグで活躍したイチロー氏も松井秀喜氏も「ウエイトトレーニングに時間をかけすぎると筋肉が硬くなり、肉体的なプラスにはならない」と語っていた。
4月11日のRCランス戦で、中村は2ゴールをマークした。1点目はクロスをダイレクトで合わせ、2点目は自陣深くから全力スプリントを怠らず、最後は体勢を崩しながらも右足を振った。
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著者プロフィール
粕谷秀樹 (かすや・ひでき)
1958年、東京・下北沢生まれ。出版社勤務を経て、2001年
、フリーランスに転身。プレミアリーグ、チャンピオンズリーグ、 海外サッカー情報番組のコメンテイターを務めるとともに、コラム 、エッセイも執筆。著書に『プレミアリーグ観戦レシピ』(東邦出 版)、責任編集では「サッカーのある街」(ベースボールマガジン 社)など多数。