【プレミアリーグ】遠藤航を「もっと信頼すべき」の声も リバプールにとってその価値とは? (3ページ目)
【リバプールに欠けていたもの】
今回のニューカッスル戦では、マイボールの活用自体がままならかった。その証拠に、エースのモハメド・サラーは90分間でシュート0本。第一の原因は、中盤での力負けだ。中盤のバトルを制し、実際にチーム2点目を決めることになる得点源のアレクサンデル・イサクにボールを届ければいいという、ニューカッスルの狙いどおりの戦い方をされた。
リーグカップ優勝チームの英雄は、見事なヘディングで先制ゴールも決めたCBのダン・バーンだろうが、影の主役は、強烈なインテンシティと闘志を体現していた、ジョエリントンとブルーノ・ギマランイスの両インサイドハーフだった。敗軍の将は敵のロングボール多用を強調していたが、リバプールは空中戦でのデュエルだけではなく、タックルの成功数でも、インターセプトの回数でも負けていた。
五分五分の競り合いに勝てずにいたチームに、ピッチに立つや否やタックルやインターセプトを決める姿も珍しくない遠藤がいれば、形勢逆転へと近づくことができたのではないか。加えて、見た目の高さ以上のヘディング能力は、移籍1年目の昨季、リバプールのファンと地元メディアが驚いた、遠藤が持つ特性のひとつでもある。
采配を振るうスロットは、優位な展開となっている試合でも、攻撃陣のリフレッシュによるゲームマネージメントを行なうタイプだ。2点のビハインドとなったリーグカップ決勝では、攻撃陣を送り出し続けたが、事実上の4トップ状態になっても逆転勝利を予期させはしなかった。途中出場のひとりであるFWフェデリコ・キエーザが、後半アディショナルタイムに一矢を報いただけで、敗戦を告げる笛の音を聞くことになった。
試合後、出番のなかった遠藤自身は、「今日は何も話すことないです」と言いながら、ミックスゾーンを足早に通過して代表合流へと急いだ。「じゃあ代表戦、頑張って!」と声を掛けると、親指を立てるサムズアップで応えた表情は、さばさばとしていた。
リバプールのチームメイトたちも、代表ウィークが心機一転の時間となるのかもしれない。しかしながら、たとえばオランダ代表としてスペインとのUEFAネイションズリーグ準々決勝2試合を戦うフラーフェンベルフが、一気に疲労が抜けてクラブに戻ってくるわけではない。タイトル獲得の望みが残されるプレミアの終盤戦再開に向け、リーグカップ決勝敗退後の17日間で変わるべきは、指揮官が先発レギュラー以外に寄せる信頼度のレベルだろう。
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