【プレミアリーグ】遠藤航を「もっと信頼すべき」の声も リバプールにとってその価値とは?
忘れてしまいたい1週間――今季からアルネ・スロットが率いるリバプールとしては、そういったところだろう。
しかし、いずれも敗退に終わった3月11日のチャンピオンズリーグ決勝トーナメント1回戦パリ・サンジェルマン(PSG)戦第2レグと、続く16日のリーグカップ決勝ニューカッスル戦は、リバプールの新監督に「遠藤航の価値を忘れてほしくはない」と感じさせもする内容だったのではないか。
日本代表MFは、延長戦でも決着が着かず(1-1)、PK戦で敗れた(1-4)アンフィールドでのPSG戦で、111分が経過した時点でようやく、足がつったイブラヒマ・コナテに代わるCBとして投入された。ウェンブリー・スタジアムで、前半終了間際から追う展開となったリーグカップ決勝(1-2)では、ベンチで90分間を終えた。
直近のリーグカップ決勝では出場機会がなかった遠藤航(リバプール)ZUMA Press/AFLOこの記事に関連する写真を見る スロットは、中盤の底にも攻撃的な選手を好む監督だ。ポゼッションを確立し、試合の流れを支配することで敵に対する防御を行なう。
遠藤が持つ守備力の必要性は認識している。本格的な優勝争いの始まりでもあるシーズン後半になると、起用頻度が増してきた。プレミアリーグ前半戦での出場時間は、第19節までに出場した8試合での計55分。後半戦では、3月8日の第28節終了(29試合消化)時点で、出場した8試合での計81分となっている。
ただし、いわゆる「クローザー」としての起用が主流だ。チームには、自然と攻守のバランスや周囲との連携にも意識を配ることのできる、本職のボランチが遠藤ただひとり。開幕前から、「自分には自分の特徴があって、その特徴をいかにピッチ上で出せるか。それが結果的にチームに貢献することにもなる」と語っていた本人も、必要とされれば、きっちりと任務遂行で応えてきた。
ウェンブリーで敗れたニューカッスルとの対戦でも、ホームでの前回リーグ戦での対決(第27節)では、後半32分にベンチを出ると、アンフィールドの観衆も沸いた頼もしいタックルやボール奪取で、勝利(2-0)へと締めくくっている。交代した相手は、遠藤と同じ一昨年の夏に8番タイプとして獲得されたが、ユルゲン・クロップからチームを受け継いだスロットが、6番役に抜擢したライアン・フラーフェンベルフだった。
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著者プロフィール
山中忍 (やまなかしのぶ)
青山学院大学卒。1993年に渡欧し、西ロンドンが人生で最も長い定住の地に。イングランドのサッカー界を舞台に執筆・翻訳・通訳に勤しむ。著書に『勝ち続ける男 モウリーニョ』、訳書に『夢と失望のスリー・ライオンズ』、『バルサ・コンプレックス』(ソルメディア)など。英国「スポーツ記者協会」及び「フットボールライター協会」会員。