プレミアリーグ移籍市場で話題の日本人選手たち 専門家も「やはり三笘薫は注目を集めている」
プレミアリーグ移籍事情 後編
世界最大のサッカー移籍情報サイト『Transfermarkt.com』の英国担当ステファン・ビエンコフスキ氏に今冬のプレミアリーグ移籍事情を聞く後編。夏に3人の大物が契約満了を迎えるリバプールや、注目の日本人選手を語ってもらった。
プレミアリーグ移籍市場で注目を集める三笘薫 photo by Getty Imagesこの記事に関連する写真を見る
【注目される日本人選手たち】
――まず、日本人選手についてお聞きします。今季のプレミアリーグには5人の日本人選手が所属していますが、移籍という観点で興味深いのは誰でしょうか?
「やはりブライトンの三笘薫は注目を集めています。プレミアリーグでも最高のドリブラーのひとりと認識されていますし、ブライトンには不可欠な選手なので、サウジアラビアからの巨額のオファーを断ったことも理解できます。
クリスタル・パレスの鎌田大地は、旧知のオリバー・グラスナー監督とロンドンで再会しましたが、まだ本領発揮には至っていませんね。それでも技術と知性、汎用性の高い彼はグラスナー監督にとって貴重な選手だと思います。
サウサンプトンの菅原由勢は1年目のプレミアリーグでも、問題なくプレーできるところを示しています。最下位に沈み続ける現所属先がこのまま降格したとしても、彼は個人的に移籍して、プレミアリーグに"残留"できるような気がしています。まだ24歳ですし、クオリティはこのリーグのレベルにあると思います。
リバプールの遠藤航にはちょっと同情を禁じえません。昨夏にユルゲン・クロップに請われて入団し、昨季は途中からレギュラーとなりましたが、今季からチームの指揮を執るアルネ・スロット新監督は同胞のライアン・フラーフェンベルフを重用しています。とはいえ、出場すればハイレベルなパフォーマンスを見せていますし、リバプールは最近、これまでにローテーションをあまり使わなかったからか、レギュラーに明らかに疲れが見え始めているので、これから遠藤の出番が増える可能性はあると思います」
――ビエンコフスキさんはスコットランド在住だそうですが、セルティックの日本人選手はどう見ていますか?
「もちろん、しっかりカバーしています。旗手怜央と前田大然については、ファンから賞賛の声しか聞こえてきません。特に今季はチャンピオンズリーグで活躍したので――プレーオフではバイエルンと好勝負を演じました――、市場価値も高まりそうです。セルティックをはじめ、スコットランドのチームは欧州カップ戦で活躍すると、一気に注目される傾向にあります。古橋亨梧は冬に推定1200万ユーロでスタッド・レンヌに引き抜かれましたが、旗手と前田が続いても驚かないですね」
――チャンピオンシップ(イングランド2部)にも日本人選手がいて、その数は8人です。注目されている選手や移籍が噂されている選手はいますか?
「首位を快走しているリーズの田中碧は、ダニエル・ファルケ監督の信頼を掴み、中盤の主軸としてチームを支えています。このまま優勝を遂げてもおかしくないですし、そうなったらチームと共にプレミアリーグに昇格するか、もともとのプレミアリーグ勢に獲得されることも考えられます。移籍に関しても、チャンピオンシップは予断を許しませんから」
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著者プロフィール
井川洋一 (いがわ・よういち)
スポーツライター、編集者、翻訳者、コーディネーター。学生時代にニューヨークで写真を学び、現地の情報誌でキャリアを歩み始める。帰国後、『サッカーダイジェスト』で記者兼編集者を務める間に英『PA Sport』通信から誘われ、香港へ転職。『UEFA.com日本語版』の編集責任者を7年間務めた。欧州や南米、アフリカなど世界中に幅広いネットワークを持ち、現在は様々なメディアに寄稿する。1978年、福岡県生まれ。