ジャンフランコ・ゾラのFKは誰も止められなかった 「25メートル前後だったらPKよりも簡単」 (4ページ目)
【ゾラに厳しさは似合わない】
もちろん、そのソフトな性格は監督に不向きだった。ウェストハムやカリアリなどで失敗したのは、重要な局面で冷徹な答えを出せなかったからだ。選手たちの気持ちをおもんぱかり、自らの首を絞めた。
いや、ゾラに厳しさは似合わない。人との距離感が心地よく、上から指図することもない。相手の立場を考える懐(ふところ)の深さがある。
スーパースターはわがままで、多かれ少なかれ周囲を不快にするが、小柄なイタリア人はいつも穏やかだ。人々の心を温かく包み込む。
彼の笑顔に、優しさに触れたら、きっときっと虜(とりこ)になる。
著者プロフィール
粕谷秀樹 (かすや・ひでき)
1958年、東京・下北沢生まれ。出版社勤務を経て、2001年
、フリーランスに転身。プレミアリーグ、チャンピオンズリーグ、 海外サッカー情報番組のコメンテイターを務めるとともに、コラム 、エッセイも執筆。著書に『プレミアリーグ観戦レシピ』(東邦出 版)、責任編集では「サッカーのある街」(ベースボールマガジン 社)など多数。
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