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岩田智輝、横山歩夢が語るイングランド3部とは? 「日本のサッカーとは180度違う」 (3ページ目)

  • 山中忍●文 text by Yamanaka Shinobu

【3部でも高まるポゼッション志向】

 確かにリーグが下部になればなるほど、パスを繋いで組み立てるうえで必要なテクニックとコントロールの技量は、平均的に低下する感が否めない。リーグ1では、4チームがリーグ2(4部)降格の憂き目に遭うことから、シーズンが進むにつれて、背に腹は変えられない心境で結果重視の戦い方をするチームが増えるのも不思議ではない。

 とはいえ、時代の流れは下部リーグのサッカーにも見て取れる。リーグ1においても、プレッシングを効かせたポゼッション・サッカーを志向する監督が率いるチームは、ブレンダン・ロジャーズ(現セルティック監督)や、アンジェ・ポステコグルー(現トッテナム監督)のチームスタッフだった過去を持つ、クリス・デイビスが指揮を執るバーミンガムだけではない。

 第25節終了時点での今季は、平均約68%のバーミンガムを筆頭に、日本のサッカーファファンは名前すら聞いたことがないかもしれないクローリーやピーターバラも、ボール支配率で上位に名を連ねている。かつてのプレミアで"ダイレクト殺法"が冴えたボルトンも、平均56%を記録。リーグ上位勢で敢えてポゼッションを捨てているのは、レクサムぐらいだろう。システムも、4-2-3-1や3-4-3が主流だ。

 今季の岩田がそうであるように、能動的かつ戦術的なスタイルを好むチームが増えれば、確かな技術と理解力を備えた日本人戦力の需要も高まる。しかも、欧州や南米の選手に比べれば移籍金も安い。これからの選手である横山にしても、ドリブルに見られるテクニックはすでに通用するレベル。クラブの公称では開始35秒で決めたリンカーン戦での先制ゴールも、角度のない位置から冷静に決めている。

「胸トラップからすぐ打とうかなと思ったんですけど、ちょっと体勢も悪かったのでもう1個持ち直して、キーパーが飛び込んで来るのも見えていたので、 股(を抜く)しかないなと思って狙ったら、入ってよかったです(笑)」 

 そう振り返った本人は、「日本から直で来ると、ちょっとは苦戦するかなと思いますけど、悪くはない」と、イングランドへの入り口としてのリーグ1を語ってもいる。

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