レアル・マドリードとユベントスで活躍するふたりの19歳 ギュレル&ユルディズはトルコ代表の未来を魅力的にする (3ページ目)
【ギュレルは洗練されたレフティ】
ドイツにはトルコからの移民が多く、2002年日韓W杯で活躍したユルドゥライ・バシュテュルクは生まれも育ちもドイツのトルコ代表選手だった。逆に、トルコ移民3世のメスト・エジルはドイツ代表として2014年ブラジルW杯優勝に貢献している。
ユルディズもドイツ生まれ。バイエルンのユースからユベントスへ移っていてトルコのクラブチームは経験していない。
ユルディズと同じ19歳、アルダ・ギュレルはトルコに生まれ、名門フェネルバフチェでデビューして昨シーズン、レアル・マドリードに移籍した。
選手層の分厚いレアル・マドリードでデビューシーズンは10試合の出場にとどまったが6ゴールを記録している。左利きの右サイド。プレーぶりはよく比較されるエジルに似ているかもしれない。
ユルディズのようなハイパワーはないかわりに、テクニックが優れていてひらりひらりとかわしていく。剛のユルディズ、柔のギュレルといったところだろうか。
キックの精度が高く、ピンポイントを狙っているところはユルディズとの共通点だ。ふたりとも資質的には10番のタイプなので、フィジカルの強化とともに現在のウイングから中寄りにポジションを移していくと思われるが、トルコ代表にとって幸運なのはふたりの逸材が共存できそうなことだ。
同じ10番タイプではあるが利き足と得意なサイドが左右に分かれていて、ストライカー的なユルディズとプレーメーカー型のギュレルで棲み分けもできる。MF中央には30歳のハカン・チャルハノール(インテル)が健在。チャルハノールが司令塔としてタクトを振るい、ギュレルとユルディズが技術とアイデアで共闘という、魅力的な近未来が期待できそうだ。
著者プロフィール
西部謙司 (にしべ・けんじ)
1962年、東京生まれ。サッカー専門誌「ストライカー」の編集記者を経て2002年からフリーランスに。「戦術リストランテ」「Jリーグ新戦術レポート」などシリーズ化している著作のほか、「サッカー 止める蹴る解剖図鑑」(風間八宏著)などの構成も手掛ける。ジェフユナイテッド千葉を追った「犬の生活」、「Jリーグ戦術ラボ」のWEB連載を継続中。
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