【競馬予想】皐月賞はぶっつけローテが定番の昨今、トライアルを叩き台にして挑む実績馬が不気味
ダービージョッキー
大西直宏が読む「3連単のヒモ穴」
――牡馬クラシック第1弾のGI皐月賞(中山・芝2000m)が4月20日に行なわれます。
大西直宏(以下、大西)昔に比べると、2歳重賞が増えて、クラシックへ向かう路線も多様化し、今や前哨戦やトライアルを使わずに本番へ挑む"ぶっつけローテ"が主流。自分が現役だった頃を思うと、隔世の感があります。
――確かに今年の出走メンバーは、キャリア3~4戦が大半。最も走っている馬でも6戦です。大西さんが騎乗して1997年の皐月賞を制したサニーブライアンは、同レースが9戦目でした。
大西 当時2000m戦(現在は1600m戦)だった1月のオープン特別・ジュニアC(中山)を勝って(皐月賞出走の)賞金は足りていましたが、GII弥生賞(3着。中山・芝2000m)、オープン特別の若葉S(4着。中山・芝2000m)を使って皐月賞に臨みました。
サニーブライアンはそこまで大物感はなく、皐月賞でも11番人気と人気薄でしたから。レースではいろいろな要素がかみ合って、勝つことができた、という感じでしたね。
――具体的には、どのあたりが追い風になったのでしょうか。
大西 まず、それまでのレース内容から「皐月賞は何とか逃げたい」と考えていたのですが、馬のタイプ的に真ん中から内目の枠を引いて、外からかぶされたらアウトだなと思っていました。ですから、「できれば、大外の18番枠がほしい」と祈りながら、公開の枠順抽選会(現在は有馬記念のみ)に参加したのを覚えています。それで、確か6、7番目に抽選機のガラガラを回すと、運よく18番を引き当てたんです。
そして、皐月賞本番では弥生賞、若葉Sでハナをきられた馬(スーパーマクレガー)がいなかったのも助かりましたね。そのうえで、同馬の鞍上だった中舘英二騎手(現調教師)から「こうしないとダメだよ」と"逃げ"のアドバイスをもらうこともできたのは大きかったですね。
実際のレースでは、1コーナーを回る際に一旦他馬にハナを譲る形になりましたが、相手が早めに下がってきて3角すぎから仕掛けていったのが、結果的に大正解。大番狂わせを起こすことができました。
レース直前、担当の厩務員とは「8着までには何とか入りたい」と話していたくらいだったので、まさか勝てるとは......。あの皐月賞の勝利は枠順と乗り方が最高にマッチした結果ですが、自らのジョッキー人生を変える、かけがえのないクラシック初制覇でした。
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