チェイス・アンリに聞くサッカー日本代表へのこだわりは? アメリカ代表の可能性はあるのか (4ページ目)
【海外に挑戦する日本人選手の特長とは?】
日本サッカー界の傾向として、高校卒業後にいきなり海外クラブの下部組織に移籍するケースが急増している。そのデメリットを挙げるならば、移籍後にプロになれる保証が100パーセントあるわけではない、という点だ。しかし、シュツットガルトにおけるチェイスのように、クラブが生え抜きとして扱ってくれるケースであれば、その不安はだいぶ払拭される。
ヒルデブラント氏は、日本人選手の特徴を好意的に見ている。
「日本人選手は非常に規律正しく、礼儀正しい。その気質がチームにいい影響を与えます。技術的にも高いレベルを持っており、精神的に強いのも特長です。また、ヨーロッパにやってくる日本人選手は、金銭面よりも評価されることや厳しい環境で成長することを重視しています。これらの要素がヨーロッパで成功するための基盤になっているのでしょう」
たしかに日本人選手の多くは、純粋に金銭だけを求めてヨーロッパに渡るというより、世界でどのくらい通用するのか、自身の成長と勝負の機会を求めている節がある。若ければ若いほど、その傾向は顕著だ。チェイスの「経験して、学んで」と自身の成長を望んでいるという話と、ヒルデブラント氏の話は重なって聞こえる。
今後、チェイス・アンリはどのような成長物語を我々に見せてくれるだろうか。期待とともに見守りたい。
<了>
【profile】
チェイス・アンリ
2004年3月24日生まれ、神奈川県横須賀市出身。アメリカ人の父と日本人の母との間に生まれ、3歳から12歳までテキサス州で育つ。中学1年生の夏に帰国し、本格的にサッカーを開始。福島県の尚志高に進学し、高校2年生の時にU-17代表に招集され、翌年は飛び級でU-22代表にも呼ばれる。高校卒業後の2022年4月にドイツのシュツットガルトと3年契約を結んで渡欧。2024年7月にトップチーム昇格を果たす。ポジション=DF。188cm、81kg。
著者プロフィール
了戒美子 (りょうかい・よしこ)
1975年生まれ、埼玉県出身。2001年サッカー取材を開始し、サッカーW杯は南アフリカ大会から、夏季五輪は北京大会から現地取材。現在はドイツを拠点に、日本人選手を中心に欧州サッカーを取材中。著書『内田篤人 悲痛と希望の3144日』(講談社)。
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