三笘薫のブライトンを率いる31歳のファビアン・ヒュルツェラー 無名の指揮官はどうしてプレミアリーグへ? (2ページ目)

  • 井川洋一●取材・文 text by Igawa Yoichi

【現在31歳。チームには年上の選手が5人】

 ファビアン(ほとんどの人が彼のことをそう呼ぶ)は今季、初めて世界一のリーグに挑戦している。真のトップレベルの舞台に足を踏み入れたわけだ。31歳だが、現役選手としてではなく、監督として。

 今季のブライトンのファーストチームのスカッドには、このドイツ人新監督より年上の選手が5人いる(GKジェイソン・スティール、DFルイス・ダンク、DFジョエル・フェルトマン、MFジェイムズ・ミルナー、FWダニー・ウェルベック)。なかでも、数多の激戦を潜り抜けてきた海千山千、ミルナーにいたっては7歳も年嵩だ。

「監督には就任当初から感銘を受けているよ」と今夏に来日した時にミルナーはそう語った。「メディアは彼が私よりいかに若いかを取り上げたがるけど、今あなたが話しているのは、16歳から38歳までプレミアリーグでプレーし続けている選手だ。つまり年齢なんて、ただの数字だってことさ」。

 同じミックスゾーンでウェルベックは、監督の印象をこう語った。

「とてもいいよ。まだ1、2カ月しか経っていないけど、トレーニングは充実しているし、伝え方も上手だね」

 この年齢でプレミアリーグのクラブの監督を務め、新天地の選手たちに認められ、見事な結果も残している。12節を消化した現在、ブライトンは5位──マンチェスター・ユナイテッドやトッテナムを下し、アーセナルと引き分け、前述したように直近のホームゲームでは王者シティを倒している。

 夢のようなプレミアリーグデビューを可能にしたのは、若き日の英断だけでなく、バイエルンでトップレベルのフットボールに親しんできたことや、指導者大国ドイツの血にも見出せる。

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