久保建英が活躍中のレアル・ソシエダの「エスタディオ・アノエタ」は美しいビーチが続く高級保養地のスタジアム (3ページ目)

  • 斉藤健仁●取材・文 text by Saito Kenji

  1993年7月29日、新スタジアムでは欧州ジュニア陸上選手権が開催され、8月13日にはレアル・ソシエダ対レアル・マドリードの親善試合が行なわれ正式にオープンした。試合は2-2の引き分けだった。同日、「カイショ・アノエタ(Kaixo Anoeta)」(バスク語でアノエタの敬礼)と呼ばれる落成式が行われ、旧エスタディオ・アトーチャの芝生がピッチの中央に置かれた。
 
 2004年、当時レアル・ソシエダの会長が改修プロジェクトを立ち上げた。 2007年の完成を予定していたこのプロジェクトでは、スタジアムの収容人数を30,000人ほどから42,000人に増やし、長年の懸案とされてきた陸上トラックを撤去する予定だった。しかし、この提案はすぐに市議会によって却下されてしまった。
 
  そこで2007年末、レアル・ソシエダの会長候補であった人物がスタジアムを購入することを提案した。これらの提案は市議会によって検討されることになっていたが、結局は、その後の会長がスタジアム改修の新たな試みを始めた。
 
  2015年、クラブはついにスタジアムを拡大するとともに、ついに、フィールド周辺のトラックを撤去すると発表した。 最終的に工事は2017年5月に始まった。2019年10月に完成すると、改修されたアリーナは約42,300人の観客を収容できることになった。
 
 改修工事の第一段階はトラックの撤去とサイドスタンドの下段の座席の設置、そして南側スタンドの全面改修で、2018―19シーズンのラ・リーガ開幕直後に完了した。新しい北側スタンド工事は、そのシーズン中に完了する予定だった。
 
 2019-20シーズンのリーグ戦の最初の3試合をアウェーで行ない、スタジアムの改築工事を完了させようとした。改修された新スタンドがオープンしてからほぼ1年後で、全席設置後の初戦は、収容人数39,500人となり、2019年9月14日に行なわれたアトレティコ・マドリードとの試合は2-0で勝利した。観客動員数は33,374人と発表され、改修前の最大観客動員数を上回り、クラブ記録となった。 その5カ月後、アスレティック・ビルバオとの「バスク・ダービー」を2-1で制し、36,730人という新記録を樹立した。
 
  改修が終わった2019―20シーズン、レアル・ソシエダはバスクのライバルであるアスレティック・ビルバオとの決勝を制して32年ぶり3度目の国王杯を獲得している。
 
 ファンは「ラ・レアル」ことレアル・ソシエダが、クラブとして3つ目のスタジアムでありフットボール専用場に改修されたアノエタで、3度目となるリーグ優勝する日を毎年、待ち望んでいる。

著者プロフィール

  • 斉藤健仁

    斉藤健仁 (さいとう・けんじ)

    スポーツライター。 1975年4月27日生まれ、千葉県柏市育ち。2000年からラグビーとサッカーを中心に取材・執筆。ラグビーW杯は2003年から5回連続取材中。主な著書に『ラグビー『観戦力』が高まる』『世界のサッカーエンブレム完全解読ブック』など多数。

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