久保建英の「電光石火の動きは少しも失われていない」 レアル・ソシエダ番記者が指摘する今後の改善策 (4ページ目)
【得点不足解消を久保に頼ってはダメ】
もしイマノルが今の苦しい現状を打開するために、もう一度中盤ダイヤモンドのシステムに変えるとしたら、MFはマルティン・スビメンディ、セルヒオ・ゴメス、スチッチ、ブライス・メンデスがレギュラー候補となり、トゥリエンテスがその被害を受けることになるだろう。
シルバの役割を果たすことになるトップ下に関しては、セルヒオ・ゴメスが適任だと思うが、ブライス・メンデスとスチッチも同ポジションで問題なくプレーできる。このシステムの場合、久保はすでにラ・レアル初年度に示したように、2トップの一角でプレーするほうがいいだろう。
しかし、前線の2枠をシェラルド・ベッカー、サディク、オーリ・オスカールソン、オヤルサバル、久保、アンデル・バレネチェアの6人で争うことになるため、人選は困難を極めるに違いない。
そのため、私は、ベストなシステムはやはり4-3-3のように思える。だが、それ以前にイマノルは2024年を通じて抱えている攻撃面の問題を解決する必要がある。しかしこの問題に至っては、選手個々がシュートの精度を高め、ゴールを決めることでしか解消できない。
ラ・レアルの得点不足の問題には、久保の助けが必要となるが、彼に頼りすぎてもいけない。久保は得点力を高めてはいるものの、決してストライカーではないからだ。それはバレネチェアやベッカーも同じである。
過去にすばらしいゴールを決め、いいシーズンを過ごした経験のあるオヤルサバル、サディク、オスカールソンたちこそが、ゴールを決めてチームを救わなければいけない選手たちだ。チームはゴールの形を見つけて得点数を伸ばし、久保はその手助けをする役割を担う必要がある。トップスコアラーになることを意識したり、ひとりでゴールを狙い続けてはダメだ。
2024年の久保は全般的に利己的だった。決断を下す際に何度もミスを犯し、動きやスタートが遅い場面が度々あり、自らゴールを決めることも、アシストすることもほとんどできていない。しかし、久保の長所である貪欲さや電光石火の動き、大胆さは今でも少しも失われてはいない。
ラ・レアルは1対1やスペースを生かした局面で、アグレッシブにプレーできる久保がいるほうがずっといい。しかし、久保がDFとマッチアップする際、たとえ突破するのが難しい状況だったとしても、スローダウンせずに仕掛ければ、ラ・レアルはさらによくなるだろう。
久保は今まで以上にリスクを冒し、相手と対峙してシュートを狙い、ペナルティーエリアに進入し、チームに何かを起こすために、試合展開を読んで有利な瞬間や状況を見出さなければならない。本来それはイマノルの仕事なのだが、久保はレアル・マドリード戦を通じて、再び新しい道を見つけ始めたようだ。
(髙橋智行●翻訳 translation by Takahashi Tomoyuki)
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著者プロフィール
高橋智行 (たかはし・ともゆき)
茨城県出身。大学卒業後、映像関連の仕事を経て2006年にスペインへ渡り、サッカーに関する記事執筆や翻訳、スポーツ紙通信員など、リーガ・エスパニョーラを中心としたメディアの仕事に携わっている。
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